【糸満】糸満市内の児童・生徒が平和について意見を交わす「小・中学生と平和を考えるフォーラムin糸満」(市教育委員会主催)が11日、糸満市摩文仁の県平和祈念資料館であった。初めての取り組みで、小中学生約50人が参加し、平和学習で学んだことや平和への取り組みなどを報告。戦争のない社会を実現していくために必要なことについて、一人一人が考えを深めた。
真壁小6年の大城望絵さんは、沖縄戦で親を亡くした祖父母と共に毎年慰霊の日に平和の礎(いしじ)を訪ねていることに触れ、「礎の前で泣くお年寄りを見て、戦争は二度と繰り返してはいけないと思う。殺し合いといじめのない平和な世界を目指すためにも、沖縄戦を語り継いでいきたい」と語った。
兼城中3年の潮平美佳さんは「沖縄戦では障害者や朝鮮の人が差別、迫害され、殺されたりもした。人権が踏みにじられる戦争は許されない。差別がなくなれば戦争も少なくなる。これからは一人一人の違いを認め、差別をなくしたい」と呼び掛けた。
児童・生徒らは、校内で体験者の語りを聞いたり、パネル展や壕見学などを実施するなど、平和に向けた今後の実践活動をそれぞれ紹介した。
戦争体験者で同資料館友の会の大城藤六さん(79)は「大人側の意見交流者」としてフォーラムに参加。「子どもたちの祖父母で戦争を体験した人の中には、あまり当時の様子を語りたがらない人もいると思うが、子どもたちは平和についてよく考え、しっかりしている」と語り、戦争体験の継承の重要性をあらためて強調した。
(琉球新報)
2009年6月13日