事件の舞台となったのは、総理大臣が視察に訪れるほど、模範的と評価された施設でした。12日は保護者への説明会が開かれています。
4人の教官が逮捕された東広島市の広島少年院で、退院を控えた保護者への説明会が開かれました。少年院側は、「暴力事件で迷惑をかけた」と、初めて保護者に直接陳謝したということです。
田原克剛容疑者ら広島少年院の4人の教官は、それぞれ収容中の少年に対して洗剤を口に押し付けたり、トイレに行かせず失禁させたりしたなどとして、特別公務員暴行陵虐の疑いがもたれています。
「東広島市にある広島少年院です。教官の逮捕から3日、退院を控えた少年の保護者向け説明会が開かれます」(記者)
広島少年院では、12日午後、退院を間近に迎えた少年とその保護者5組を対象に退院後の生活について担当教官が面談しました。
保護者によりますと、説明会の冒頭で、佐藤公昭院長が、「4人の暴力事件でご迷惑をおかけしてすみませんでした」と陳謝しました。
教官らの逮捕について広島少年院が保護者に直接謝罪するのはこれが初めてですが、事件の詳細については何も説明しなかったということです。
広島少年院は、以前は「模範少年院」として知られていました。2007年3月、当時の安倍晋三総理も視察に訪れています。
「この広島少年院は、大変少年たちの更生に成功している少年院であるという話を聞きました。僕たちがいるこの4学寮は、主に社会生活に視点をおいてあらゆる分野で社会に適応できる能力の向上に努めています。僕はこれから社会に戻って行く訳ですが、もう絶対に人生を間違えないように一歩ずつ歩んでいきます。子供たちに接してみて大変明るくて、てきぱきしていてみんな夢を持っていて私も大変、私自身が励まされたような気がしました」(政府インターネットテレビより)
安倍元総理が少年院を訪問した1か月前、広島大学で開かれたシンポジウムでは教官の田原克剛容疑者が講演し、自分の学習指導を「成功例」として紹介していました。
教官らの逮捕容疑は、去年3月から今年3月にかけてのものです。広島矯正管区の内部調査では、昨年度だけで100件前後の暴行や虐待行為があったことがわかっています。
全国の模範とされた少年院で陰湿な暴力が横行するようになったのは、なぜなのか―。広島地検は、少年院の勤務記録や収容されている少年全員の日記を押収、逮捕された4人以外の教官からも任意で事情を聴き、暴行の実態や事件の背景を解明しています。(6/12 19:26) |