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【衝撃事件の核心】「性暴力を奨励」か「表現の自由」か 凌辱系ゲーム“外圧”で制作禁止に波紋 (2/4ページ)
相次ぐ“外圧”が国内に
ソフトが問題となったのは、今年2月。英国の議会で「英国の映像審査団体の審査を受けていないにもかかわらず、国内で流通している」として、取り上げられたためだ。
日本国内では、審査機関である一般社団法人「コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)」の審査を通り、「18歳未満への販売禁止ソフト」として、平成18年4月から販売が開始された。当初から国内向けに販売されたものだったが、英国内でもネット販売大手の「アマゾン」などで入手可能になっていたという。
5月には、国際人権団体「イクオリティ・ナウ」(本部・米ニューヨーク)が、ソフトの制作・販売に抗議する声明文を発表した。声明文では、ソフトの内容を詳細に紹介した上で、日本の児童買春・児童ポルノ禁止法(児ポ法)がアニメやゲームなどのいわゆる「仮想的作品」の制作・販売を禁止していないことにも言及。こうしたソフトの販売が許されていること自体が「女性への性暴力を助長する」として、ソフトを制作したメーカーやアマゾン社に加え、麻生太郎首相、森英介法相、小渕優子少子化担当相、野田聖子消費者行政担当相へも抗議文を送るよう、ホームページ(HP)などで呼びかけた。
この動きが日本国内で報道されたことなどを受け、自民党内でも「性暴力ゲームの規制に関する勉強会」が発足し、規制策の検討が始まった。
しかし、「レイプレイ」はそもそも国内向けに作っていたソフトで、販売の「お墨付き」を与えたソフ倫も、国内での販売を前提にした審査を行っている。つまり、業界としては「予想外」に海外へ流通し、“外圧”が国内に伝播した形となったが、結局、対応に追われることとなった。
まず、ソフトを制作した横浜市のメーカーが、5月中旬に販売自粛を決めた。HP上には「海外の皆様へ」と題して「残念ながら、弊社製品は自主規制により、日本国内在住の18歳以上の方にのみ販売しており、国外での販売、およびサポートはしておりません」という説明を掲載した。
また、審査を担当したソフ倫も、5月下旬に加盟するパソコン用ゲームメーカー約230社に「凌辱系ソフト」の制作・販売の自粛を要請。6月上旬には、「凌辱系ソフト」の制作禁止を正式決定し、全ソフトへ「Japan Sales Only」の表記を徹底するよう通達した。