Print this Post Article Lists Back

中央アジアが韓国にラブコール(下)

 カザフスタンが韓国に注目する本当の理由は別にある。1500キロにわたし国境を接している中国の「攻撃的な」進出が恐ろしいからだ。韓国大使館駐アルマトイ分館のイ・ヤング総領事は、「カザフスタンの油田の20%が既に中国企業の手に渡っている状態。中国の労働者が洪水のように流れ込めば、人口が1560万人に過ぎないカザフスタンの急速な“中国化”は、火を見るより明らかだ」と語った。カザフスタン政府としては、地政学的な利害関係を持たない韓国が経済協力のパートナーとしてより魅力的というわけだ。

 カザフスタンに進出した韓国石油公社のユ・サンス所長は、「韓国と中国が激しい受注合戦を繰り広げた25億ドル(約2454億円)規模のバルハシュ火力発電所建設事業権を、カザフスタンが李明博(イ・ミョンバク)大統領訪問時に韓国企業に与えたのも、こうした流れ」と解釈した。

 一方、ウズベキスタンは状況が異なる。もともとシルクロードの中心地だった首都タシケントは、ソ連時代にもソ連5大都市の一つに挙げられていた。しかし1991年の独立以後、閉鎖的な経済政策を取ったことで、2000年以降、それまで「ニ等国家」と侮っていた隣国カザフスタンに追い越された。しかし、開放度の劣る金融システムと後進的な経済構造のお陰で、逆に世界的な金融危機の影響はほとんど受けなかった。

 ウズベキスタンは、カザフスタン経済がよろめいているすきを突き、以前の中央アジアの覇権国としての地位を回復しようという野心を持っている。ウズベキスタン東方研究所のエルダル・エルチ・ラズロフ韓半島(朝鮮半島)センター長は、「(韓国の)“漢江の奇跡”のことは全国民がよく知っており、イスラム・カリモフ大統領も韓国に好意を持っている。両国は経済発展の分野で大いに助け合うことができる」と語った。

 ウズベキスタンはまだ経済政策が閉鎖的で、外貨の両替や送金に制限が多い。また、ビザの発給が難しく、事業環境は劣悪といえる。「とはいえ、もともと製造業の基盤が弱く、何であろうと持ち込んで売れば利益を上げることができるのが魅力」と語るのは、タシケントの大韓貿易投資振興公社(KOTRA)韓国経済センターのイ・ミョング所長。また、ウズベキスタンは中央アジアの中心部に位置しており、この地域全体を念頭に置いた産業拠点としての魅力も大きい。何より大きな資産の一つは、ウズベキスタン人が韓国に対し無限の親しみを示していることだ。

 明知大のオ・ジョンジン教授は、「中央アジア地域はヨーロッパとアジアを結ぶ物流の要衝にして、エネルギーと鉱物資源の宝庫だ。今こそ、中央アジア諸国と多角的関係を強化すべき時」と語った。

アルマトイ(カザフスタン)・タシケント-ナボイ(ウズベキスタン)=イ・ヨンス記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る