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韓国に口述史学会が誕生

初代会長に咸翰姫・全北大教授

「強烈な事件ほど人々はきちんと記憶している」「口述は思ったよりも正確」

 「実証主義史学では、人の記憶は信用できないとして、記録だけを重要視します。しかし口述史を信頼に値する研究方法として確立していくのは、現在の世界的なすう勢です」

 今月5日に創立された韓国口述史学会。同学会の初代会長に就任した全北大考古文化人類学科の咸翰姫(ハン・ハムヒ)教授は、「数年前に学会を作ろうと言ったときは、特に反応はなかったが、最近になって関心が高まっているのを見て、“ああ、すべてには時期があるのか”と思った」と話し、大きな声で笑った。

 口述史学会には、人類学の研究者として木浦大の尹炯淑(ユン・ヒョンスク)教授、済州大のユ・チョルイン教授、韓国口述史研究所のユン・テクリム氏、社会学の研究者として漢城大のキム・ギオク教授、ソウル大のイ・インギュ教授、韓国史の研究者として公州大の池秀傑(チ・スゴル)教授、蔚山大のホ・ヨンラン教授、成均館大のイ・ヨンギ教授らが名を連ねている。このほか、人文・社会科学だけでなく国楽・舞踊・体育・看護学なども含め、さまざまな分野の研究者120人余りが参加している。

 人の口を通じ記憶を採録する「口述史(オーラルヒストリー)」が西欧で重要な歴史研究の方法として注目を集めたのは、第2次大戦以後のこと。戦場から帰ってきた軍人たちが、記録からは知ることのできない戦争の惨状を知らせたことで、口述の重要性が浮き彫りになったのだ。ナチスによるユダヤ人虐殺を明らかにしたのも、「記録」ではなく「言葉」だった。

 しかし咸翰姫教授は、「口述の伝統は、西洋よりも韓国の方が強い」と指摘する。「朝鮮時代には、“文書は偽造可能だが、人の口は偽れない”と考えられていた。裁判を行うとき、誰がどの土地を持っているかという所有権の文書よりも、その土地の実際の所有者が誰なのかについて、近所の人々が話す内容の方を重視した」。咸教授は「西欧の学者も、民謡・物語・説話など口述文化が発達した韓国の伝統に驚いている。西洋の近代学問が輸入される中で、むしろ記録の重要性が強調され始めた」と語った。

 咸教授は、「人々は強烈な事件について驚くほど正確に記憶している。口述は意外と正確だ」と語った。証言者が間違って記憶している部分があっても、価値がないわけではない。事実を立証することも重要だが、その人がなぜそのように記憶しているのかについて、当時の社会的・政治的環境を加味して解釈することもできるからだ。

 口述史学会は今後、学会誌の創刊、学術大会の開催、海外の口述史学会との交流など、さまざまな活動を繰り広げていく予定だ。咸教授は「口述史研究は諸分野の学問の統合を導き、市民自らが歴史の主体との認識を持ち、それを拡散させるのに寄与するだろう」と語った。 

韓国口述史学会の初代会長に就任した咸翰姫(ハン・ハムヒ)全北大教授は、「近い時代を研究する際には、口述が“主”、文書が“従”になることもあり得る」と語った。/写真=イ・テギョン記者

李桓洙(イ・ハンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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