前橋市南町3の市民文化会館駐車場で昨年11月、玉村町板井、建設作業員、小指(こざす)直樹さん(当時17歳)が暴行を受け死亡した事件で、傷害致死罪などに問われた伊勢崎市の無職少年(17)と玉村町の無職少年(18)に対し、前橋地裁(石山容示裁判長)は12日、いずれも懲役2年以上4年以下(求刑・懲役2年以上5年以下)の不定期刑を言い渡した。
被害者参加制度が適用された裁判で判決が出たのは県内で初めて。公判には小指さんの両親が参加した。
判決によると、両少年は昨年11月8日午後10時ごろ、玉村町のパチンコ店駐車場で小指さんを乗用車に監禁し市民文化会館駐車場に連れだし、9日午前0時ごろから約2時間、集団で小指さんに殴るけるなどの暴行を加え、死亡させた。
判決で、石山容判長は「約2時間に渡り集団で暴行し、執拗(しつよう)で凄惨(せいさん)な犯行」と指摘。量刑の理由で「遺族は公判に出席し、子供を突然失った悲痛な思いを涙ながらに陳述している」と述べた。
判決後、被害者参加制度と同時に新設された損害賠償命令制度の手続きも非公開で始まった。慰謝料などの賠償額について刑事裁判と同じ裁判長らが担当し、決定を出す。【奥山はるな】
「刑を終えても、息子のことをずっと思い続けてほしい」。少年2人の判決を受け、直樹さんの両親は会見を開き、少年らに対する思いを口にした。
母令子さん(52)は判決について「刑が重いか軽いかと言われたら、遺族としては刑が軽いという思いがある」と話し、「それでも、受け入れるつもりでいます」と複雑な表情で話した。
法廷で被告人と直接言葉を交わしたことについて、「加害者に直接意見を言えたことは、意義のあることだった」と令子さん。「裁判前、心に抱えていたわだかまりが、多少は晴れた」という。
父教一さん(53)は「第2の直樹を作ってはいけない」と言葉少なに語り、令子さんは「刑は決まったが、罪が消える訳ではないし、直樹は帰ってこない」と、裁判に参加しても癒えることのない心のうちを垣間見せた。【鳥井真平】
毎日新聞 2009年6月13日 地方版