北朝鮮決議案の全文

 【ニューヨーク12日共同】北朝鮮に対する国連安全保障理事会の追加制裁決議案の全文は次の通り。
 【前文】
 一、安保理は決議825(1993年)、1540(2004年)、1695(06年)、特に1718(06年)を含む過去の関連安保理決議のほか、06年10月6日、09年4月13日の各議長声明を想起。
 一、核、化学、生物の各兵器やそれらの運搬手段の拡散は国際平和と安全の脅威となることを再確認。
 一、北朝鮮による09年5月25日(現地時間)の核実験は決議1718の違反であるだけでなく、核拡散防止条約(NPT)や、10年のNPT再検討会議に向けた地球規模での核不拡散体制強化を目指す国際的な取り組みに対する挑戦であり、地域内外の平和と安定に与えた危険性に深刻な懸念を表明。
 一、NPTへの集団的支援や同条約の強化に向けた取り組みのほか、核不拡散と核軍縮に向けた地球規模の努力を強調。NPTによって、いかなる場合においても北朝鮮が核兵器保有国の地位を得られないことを想起。
 一、北朝鮮のNPTからの脱退表明および核兵器の追求に遺憾の意。
 一、北朝鮮が、これらとは別の安全保障上、人道上の国際社会の懸念について対応する重要性を再度強調。
 一、本決議の措置は、北朝鮮の市民に人道上の重大な悪影響をもたらす意図がない点も強調。
 一、北朝鮮の核実験とミサイル活動が、地域内外の緊張を一層高めたことに深刻な懸念を表明し、国際平和と安全の明確な脅威として存在し続けていると決定。
 一、全加盟国が国連憲章の目的と原則を支持する重要性を再確認。
 一、国連憲章7章の下で行動し、41条の下で措置を取る。
 【本文】
 1、09年5月25日の北朝鮮の核実験を最も強い表現で非難。関連決議、特に1695や1718、09年4月13日の議長声明への違反であり、言語道断の無視に当たる。
 2、北朝鮮に対し、さらなる核実験や弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射もしないよう要求。
 3、北朝鮮に対し、弾道ミサイル計画に関連するすべての活動停止と、ミサイル発射を一時停止するという既存の約束の再公約を義務付けると決定。
 4、北朝鮮に対し、関連の安保理決議、特に1718の義務について、即時かつ完全な順守を要求。
 5、北朝鮮に対し、NPT脱退表明の即時撤回を要求。
 6、北朝鮮に対しさらに、NPT加盟国の権利と義務に留意しながら、早い段階でNPTや国際原子力機関(IAEA)の保障措置に復帰するよう要求。NPTの全加盟国に対し、条約義務を順守し続ける必要性を強調。
 7、国連全加盟国に対し、決議1718で設置した北朝鮮制裁委員会が09年4月13日の議長声明に基づき行った指定を含め、決議1718の義務履行を要請。
 8、北朝鮮に対し、すべての核兵器および既存の核計画を完全かつ検証可能、後戻りできない形で放棄することや関連する全活動の即時停止を義務付け。NPTの義務やIAEAの保障措置協定の諸条件に厳密に沿った行動を義務付け、IAEAから求められたり、必要と判断されたりする個人や文書、装置、施設へのアクセスを含め、求められる以上に透明性ある対応をIAEAに提供するよう義務付けると決定。
 9、決議1718の8項(b)の措置は、すべての武器や関連物資のほか、そうした武器や関連物資の供給や生産、メンテナンス、使用に関連する金融取引、技術訓練、助言、サービスや支援にも適用することを義務付けると決定。
 10、決議1718の8項(a)の措置は、すべての武器や関連物資のほか、そうした武器の供給や生産、メンテナンス、使用に関連する金融取引や技術訓練、助言、サービスや支援にも適用することを義務付けると決定。ただし、小型武器や小火器、これらの関連物資は除外。各国に対し、直接間接を問わず、北朝鮮への小型武器や小火器の供給、販売、移転に関する警戒実施を要請。さらに、北朝鮮に小型武器や小火器を販売、供給、移転する国々は、少なくともその5日前に制裁委員会に通知することを義務付けると決定。
 11、すべての国に、自国の当局と法律、国際法に従って、決議1718の8項の(a)、(b)、(c)や本決議の9項、10項で供給、販売、移転、輸出が禁止されている品目を含んだ貨物だとみなす合理的な理由を示す情報があれば、これらの規定の厳密な履行を確実にするという目的を持って、海港や空港を含む自国領内で、北朝鮮に出入りする全貨物の検査を要請。
 12、全加盟国に対し、決議1718の8項の(a)、(b)、(c)や本決議の9項、10項で供給、販売、移転、輸出が禁止されている品目を含む貨物を積んだ船舶とみなす合理的な理由を示す情報があれば、これらの規定の厳密な履行を確実にするという目的を持って、船舶の旗国(船籍国)の同意の下、公海上での船舶検査を要請。
 13、すべての国に対し、本決議の11項、12項に従い、検査への協力を要請。仮に、旗国が公海上での検査に同意しない場合、旗国は、11項に従って地元当局による検査のため、船舶を適当かつ便利な港に向かわせるよう指示することを義務付けると決定。
 14、決議1718の8項の(a)、(b)、(c)と本決議の9項、10項で供給、販売、移転、輸出が禁止され、本決議の11項、12項、13項に基づく検査で特定した品目について、全加盟国に対し、押収、処分の権限付与と義務付けを決定。この際、1540(04年)を含む安保理決議の義務のほか、NPT加盟国の義務、化学兵器禁止条約や生物兵器禁止条約との調和を欠かない形で行うべきで、すべての国に対し、これらの努力への協力義務付けを決定。
 15、あらゆる加盟国に対し、11項、12項、13項に基づいて検査したり、14項に基づいて貨物を押収、処分したりした場合、検査、押収、処分に関する詳細を記した報告を速やかに制裁委員会に提出するよう要請。
 16、あらゆる加盟国に対し、12項、13項に基づく旗国の協力が得られなかった場合、詳細を記した報告を速やかに制裁委員会に提出するよう要請。
 17、加盟国に対し、決議1718の8項の(a)、(b)、(c)や本決議の9項、10項で供給、販売、移転、輸出が禁止されている品目を積載しているとみなす合理的な理由を示す情報があれば、燃料や補給品、その他の船舶サービスなどを含め、自国民や自国領内から北朝鮮の船舶に対する船舶積み込み業務の禁止義務付けを決定。ただし、人道上、必要な場合は除外し、また、貨物を検査、押収、処分するまでとする。この条項は、合法的な経済活動に影響を与える意図はない点を強調。
 18、加盟国に対し、決議1718の8項の(d)、(e)の義務履行に加え、北朝鮮の核、弾道ミサイル、大量破壊兵器の計画や活動に資する金融サービスの提供、あるいは自国を出入りしたり、自国民や自国法の下で組織された団体(海外支店を含む)もしくは領内の個人や金融機関が関与したりする金融その他の資産や資源の移転を防ぐよう要請。これには、領内や自国の司法権限下に置かれ、そうした(核やミサイルの)計画や活動に関連する金融その他の資産や資源の凍結のほか、各国の当局や法律に合わせながら、そうしたすべての取引を防ぐための監視強化も含む。
 19、全加盟国と国際的な金融・信用機関に対し、市民のニーズに対処するための人道的・開発的な目的や非核化の促進を除き、北朝鮮に新たな助成の取引契約や財政支援、無利子融資を行わないよう要請。また、各国に対し、現在の取引を減らす方向で、警戒強化の実施を要請。
 20、核、弾道ミサイル、その他の大量破壊兵器の関連計画や活動に充当する可能性があるため、全加盟国に対し、対北朝鮮貿易への公的な金融的支援(輸出信用のほか、そうした貿易に関与する自国民や団体への保証や保険を含む)を提供しないよう要請。
 21、全加盟国は、「外交関係に関するウィーン条約」に従い、北朝鮮国内における外交団の活動とは関係なく、決議1718の8項(a)(3)や8項(d)の規定を順守すべきと強調。
 22、全加盟国に対し、決議1718の8項や本決議の9項、10項のほか、18項、19項、20項で定めた金融措置の効果的な実施のために取った具体的な対応について、本決議採択から45日以内に安保理に報告することを要請。その後は、制裁委員会の要請に基づく。
 23、決議1718の8項の(a)、(b)、(c)で定められた措置は、(IAEA関係の別の)文書で示された品目への適用義務付けを決定。
 24、団体や物品、個人の指定を含め、決議1718の8項や本決議が課した措置の調整義務付けを決定。制裁委員会がこの任務を負い、本決議採択から30日以内に安保理に報告するよう指示。さらに、制裁委員会が行動しなければ、安保理が報告書を受け取ってから7日以内に調整を完了することを決定。
 25、制裁委員会に対し、09年7月15日までの安保理への提出に向け、順守、調査、対外的働き掛け、対話、支援、協力といった作業計画を通じ、決議1718や4月13日の議長声明、本決議の完全な履行を促進するための取り組み強化を義務付け。加盟国から本決議の10、15、16、22の各項に関する報告受け取りと検討の義務付けを決定。
 26、国連事務総長に対し、制裁委員会と協議しながら、以下の各任務を進めるため、制裁委員会の指示の下で行動し、当初期間を1年間とする最大7人の専門家グループ(専門家パネル)の創設を要請。(a)決議1718や本決議の25項で明示された任務を進め、制裁委員会を支援(b)1718や本決議で科された措置の履行状況、特に従っていない事件に関し、加盟国や国連関係機関、その他の関心ある団体からの情報の収集、調査、分析(c)1718や本決議で盛られた措置の履行改善について、安保理や制裁委員会、加盟国の行動に関する勧告(d)分かったことや勧告について、本決議採択から90日以内に暫定報告を安保理に報告、さらに、任務期間の終了前30日までに、最終報告を提出。
 27、すべての国や国連機関、その他の関心のある団体に対し、1718や本決議で課された(禁制品の)処分情報の提供を通じ、制裁委員会や専門家パネルと完全に協力するよう要請。
 28、全加盟国に対し、自国領内や自国民によって、北朝鮮の核活動や核兵器運搬システムの拡散につながる可能性がある特別な教育や訓練を北朝鮮側に行わないよう警戒し、防止するよう要請。
 29、北朝鮮に対し、最も早い時期に包括的核実験禁止条約(CTBT)に加わるよう要請。
 30、平和的対話を支持し、北朝鮮に対し前提条件なく6カ国協議への即時復帰を要請。すべての参加国に対し、朝鮮半島の検証可能な非核化実現と朝鮮半島および北東アジアの平和と安定の維持に向け、中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国による05年9月19日の共同声明、07年2月13日と07年10月3日にそれぞれ発表された文書の完全かつ迅速な履行への取り組み強化を要請。
 31、現在の情勢に対し平和的、外交的、政治的な解決に向けた取り組みを表明。対話を通じた平和的で包括的な解決を手助けし、緊張を高める行動を抑えるための安保理メンバー国やその他の加盟国の努力を歓迎。
 32、北朝鮮の行動を継続的に注視。北朝鮮が安保理決議を順守した場合などを考慮、決議1718の8項や本決議の関連項目に盛られた措置の妥当性に関し、強化、修正、停止、解除を含めた見直しの用意があることを確認。
 33、追加措置が必要な場合は、さらなる決定が必要と強調。
 34、この問題に引き続き積極的に取り組むことを決定。


2009年06月12日金曜日

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