【北京・西岡省二】北朝鮮が国連安保理の追加制裁決議採択に反発してプルトニウム兵器化とウラン濃縮を宣言したのは、今回の国連決議を「米国などによる、さらなる挑発」と位置付け、より強硬な「自衛的措置」を講じたためとみられる。周辺国に大きな脅威を与えて譲歩を引き出す「瀬戸際外交」をさらに進めた形だ。米国など関係国が強硬姿勢を崩さないならば、態度をさらに硬化させ、新たな核実験や弾道ミサイル実験に踏み切るなど、危機感を次々に高めていくことが予想される。
既に北朝鮮は3度目の核実験に結びつくような情報を流し、新ミサイル基地では弾道ミサイル発射の構えを見せている。これまでに「国家の最高利益が侵害される場合、核実験やミサイル発射をいくらでもできる権利がある」との立場を表明しており、米国などが対話に乗り出さない場合、追加的な核・ミサイル実験に踏み切る可能性が高まっている。
北朝鮮は最近の安保理の対応に強い拒否感を抱き、「朝鮮戦争の敵である『国連軍司令部』を作った機関」「安保理の敵対行為は停戦協定の破棄」(先月29日・外務省報道官談話)と、敵対心をあらわにしている。この論理からは、北朝鮮は今後、核兵器量産の動き以外に、韓国との間で挑発行動に出るなどの構えも読み取れる。
今回の声明では「核放棄は絶対に、徹頭徹尾あり得ない」と主張し、核問題をめぐる6カ国協議など「核放棄へのプロセス」に戻らないことを事実上宣言した。プルトニウム兵器化に加え、他国に見つかりにくく自国の豊富な天然ウランを使えるウランによる核開発も公式に表明した。
毎日新聞 2009年6月13日 23時21分