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分権改革 強力推進を 全国知事会、戦略描く
政権交代の可能性がささやかれる総選挙の時期が迫っている。十八日に開かれた全国知事会では、与野党が激しく政策論を戦わせるこの機会を地方分権改革の推進力として最大限活用すべきとする意見が相次いだ。総選挙を“チャンス”ととらえる知事らの戦略の裏には、遅々として進まない地方分権改革への歯がゆさが見える。
支持政党表明■
「政権交代が起こるかもしれない非常に重要な時期に地方分権を議論してもらう必要がある。知事会の意思を従来以上に先鋭に出し、各党の公約を検証させてほしいというように戦略的に当たっていくべきではないか」。全国知事会の席上、平井伸治鳥取県知事が総選挙をにらんだ主張を切り出すと「分権の文言を入れてくれた政党を支持するとか踏み込まないと変わらない」と東国原英夫宮崎県知事が語気を強めた。
さらに激しい口調でまくし立てたのは橋下徹大阪府知事。「知事会はどの政党を支持するのか態度表明すべき。そうすれば自民も民主も必死になって地方分権の取り組みが進むと思う」と持論を展開し、「事務連絡会議みたいな形で文書を取りまとめても何にも動かない」と知事会の手法を辛らつに批判、世論の後押しが必要であるにもかかわらず、国民に対して知事会の存在感が薄いことを指摘した。
いら立ちも■
知事らの発言からは分権改革へのいら立ちやあせりが見える。慶応大学の小林良彰教授(政治学)は「ここ十年ほどで地方分権のいくつかの改革があった。マイナスではないが望んだ姿からは遠い」と分析し、「二〇〇〇年の地方分権一括法は期待した半分くらいしか成し遂げられず、三位一体改革では補助金が削られたのに権限が来なかった」と地方分権改革の不遇の過程を振り返る。
現在も、地方分権改革推進委員会が議論する国と地方の税財政に関する第三次勧告の提出が当初予定の五月から秋ごろにずれ込む見込みで、地方分権改革推進法の期限が来年三月末に迫る中、期限までに新たな分権一括法を成立させることができるかどうか不透明だ。
「今のところ政権交代の可能性は五分五分。与野党両方に同じ距離で交渉できる今は千載一遇のチャンス」と小林教授はみる。「だから今、政権与党となったら分権改革について何をするのかを与野党に問うべき」と知事会の統一した要求を与野党にぶつける手法を提案する。
地方分権改革 国から地方に権限や財源を移し、地方の自主性を高める改革。2000年の地方分権一括法で国が地方を出先として扱う機関委任事務が廃止され、さらに改革を進める第2期分権改革として07年に地方分権改革推進法を施行。同法に基づいて設置された地方分権改革推進委員会が改革案を審議し首相に勧告、政府は勧告を踏まえて地方分権改革推進計画を策定することになっている。
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