母音の長音練習 基本
滑舌の悪い人は、あまり口を開けずに「イ」の口の形でしゃべっている場合が多く見受けられます。
正しい口の開き方をしっかりマスターしましょう。
- 「ア」の標準音
あご・・・・・下へ十分開く。(縦に指が2本はいる程度に)
舌・・・・・・力を抜いて自然に平らにおく。
-
「イ」の標準音
あご・・・・・ほとんど開かない。
舌・・・・・・舌先を上あごへ出来るだけ近づける。
-
「ウ」の標準音
あご・・・・・ほとんど開かない。
舌・・・・・・奥を盛り上げる。
くちびる・・・すぼめてややまる口にする。
-
「エ」の標準音
あご・・・・・「ア」と「イ」の間くらいに開く。(小指の先がはいる程度に)
-
「オ」の標準音
あご・・・・・「エ」と同じくらいに開く。
くちびる・・・しぼって丸める。
舌・・・・・・奥を盛り上げる。
母音の無声化
- 日本語の母音は、「アイウエオ」の五つです。
単音には、無声音と有声音があり、母音は原則として有声音です。
つまり、カ (Ka) は、子音 「K」 と母音 「a」の結合した音です。
この 「K」 は無声子音ですが、子音には有声音もあります。
- 無声音とは、声帯が振動せずに出るわずかな息だけの音です。
有声音とは、声帯が振動して声が作られる音です。
- 有声音と無声音のちがいは、喉のあたりに手を軽くあててみると判ります。
有声音⇒「アー」と声を出すと声帯の振動が手に伝わってきます。
無声音⇒ガラスに息を吹きかけるように「ハァー」と息を出すと声帯は震えません。
- 母音の無声化は原則的には、口の開きの狭い母音イ(i)とウ(u)が無声子音にはさまれたとき、無声子音に続く
i や u が言葉の終わりにある場合におこります。
kiku(菊) kita(北) shika(鹿) sukoshi(少し) chikara(力) hito(人) fukai(深い) pikari(ピカリ) arimasu(あります) kaesu(返す) kashi(菓子) ashi(葦)
※例外的に、口の開きの大きい母音ア(a)とオ(o)の無声化現象もあります。
katai(固い) katana(刀) koko(此処) kokoro(心)
《 母音の無声化例題 》
「ピカピカ光る服を着た人が、つかれきった視線をおとして薬を口に含むと、力なく腰掛けて描きかけの菊を捨てています」
「ピカピカ ヒカル フク ヲ キタヒト ガ、 ツカレキッタ シセン ヲ オトシテ クスリ ヲ クチ ニ フクムト、 チカラ ナク コシカケテ カキカケノ キク ヲ ステテイマス」
※のどに軽く手をあてながら読んでみましょう。
無声化する音には、アンダーラインがついています。
濁音・鼻濁音
標準発音では大体、語頭に破裂音ガ行(濁音)を、語中および語尾には鼻濁音を用います。
鼻濁音の練習としては、はじめはガの前に「ん」の音をつけて
ンガ、ンギ、ング、ンゲ、ンゴ、ンギャ、ンギュ、ンギョ、と発音し、次第にその間をつめて、最後に一緒にして発音すると良いでしょう。
第二拍以後でも、鼻濁音化されないガ行音
- 数詞の「五」は、語頭・語中・語尾のどこにあっても原則として鼻濁音化されません。
(例) 五月 十五日 五十五人
ただ、つぎにあげるような熟語や人名の場合は、数としての本来の意義が薄れているため、ふつう鼻濁音化されて発音されます。
十五夜 七五三 七五調 為五郎 大五郎
- 軽い接続語のつぎのガ行音は、たいていの場合、鼻濁音化されません。
(例) お元気 お行儀 朝ごはん
- 擬音語、擬態語などや、漢語の重ね言葉の場合は、鼻濁音化されません。
(例) ガタガタ ギリギリ グズグズ ゲラゲラ ゴソゴソ 侃々諤々(カンカンガクガク) 喧々囂々(ケンケンゴーゴー)
連母音・長母音
ひとつの語や、語のつながりの中で、母音が二つ以上続く場合を“連母音”といいます。
連母音で、発音に注意する点は次のとおりです。
【1】 エイの連続は、普通はエーと長音になります。
(例) 映画 エーガ 時計 トケー 未来永劫 ミライエーゴー 衛星 エーセー
【2】 エとイの間に意味の切れ目があるときは長音にしません。
(例) ため息 ○タメイキ ×タメーキ 負け戦 ○マケイクサ ×マケークサ
【3】 同じ母音が連続するときは長音になります。
ア+ア お母さん オカーサン
イ+イ お兄さん オニーサン
ウ+ウ 空港 クーコー
エ+エ お姉さん オネーサン
オ+オ 灯火 トーカ
【4】 意味の区切りをはっきりさせるときは長音にしません。
ア+ア 場合 ○バアイ ×バーイ
イ+イ 黄色 ○キイロ ×キーロ
ウ+ウ 安請け合い ○ヤスウケアイ ×ヤスーケアイ
エ+エ 影絵 ○カゲエ ×カゲー
オ+オ 里親 ○サトオヤ ×サトーヤ
《 長音例題 》
めいめい慶応明治法政で経営経済学を専攻した経営層。
メーメーケーオーメージホーセーデケーエーケーザイガクヲセンコーシタケーエーソー。
妹の芸名は先生に命名してもらった。
イモートノゲーメーハセンセーニメーメーシテモラッタ。
生産者の申請書を審査した。
セーサンシャノシンセーショヲシンサシタ。
アーティキュレーション練習例題100選
1語1語ゆっくり母音を発音することを意識して練習しましょう。
- おあやや、母親におあやまりなさい。
- 橋の下で河童子が河童子もた。もた子も河童子、その子も河童子、親河童子子河童子、子河童子親河童子。
- 向こうの菜畑に羽鴨が百羽に子鴨が百羽、羽鴨が米噛む、子鴨親鴨子鴨が粉米噛む。
- 家の娘一人お家奉公いたさせたくもいたさせたし、また家において生竹の青竹茶筅でお茶立てさせたさも立てさせたし。
- この竹垣に竹たてかけたのは、竹たてかけたかったから竹たてかけたのです。
- マッカーソーさんはコロラドの出だぞ。
- 新春早々新進シャンソン歌手による新春新進シャンソン歌手ショー。
- 上方僧、書写山社僧の総名代、今日の奏者は書写じゃぞ書写じゃぞ。
- 特許を許可する農商務省特許局、日本銀行国庫局、東京特許許可局。
- 手術室で主治医が手術した。
- 親亀の背中に子亀を乗せて、子亀の背中に孫亀乗せて、孫亀の背中にひ孫亀乗せて、親亀こけたら子亀孫亀ひ孫亀みなこけた。
- 熊が食う栗 熊の来る国。
- もずが鳴きますトッキョキョカキョク、子もずも鳴きますチョッチョチョチャチョク、親もず子もずがトッキョチョチャキョク。
- 第五交響曲に観客驚愕。
- ヤシの実を獅子が喰い、菱の実をヒヒが喰う。
- 縁の下の地蔵さん、足さし出したがらっしゃるゆえ、足さし出すなと言うに、足さし出したがらっしゃる。
- 作者の脚色、役者の約束。
- 戦車の射手に機銃掃射で射殺されるなど、勝者も戦傷死者を出し資産を死守したが、ついに収拾し終止符。
- 茶煙草のんで煙草茶のむ、茶煙草煙草茶、茶煙草のむ。
- 河原なでしこ野で咲く野菊、それでその根を引き抜く、抜くには引き抜きにくい抜きにくい。
- 万事不如意で外面如菩薩内心如夜叉とはいかず、入梅のような女房の顔。
- 羊皮紙の表紙を日向の秘薬で百パーセント漂白しひょう変した風評がある批評集。
- この杭の釘は引き抜きにくい釘、引きにくい釘、抜きにくい釘、くぎぬきで抜く。
- 樫の丸薪割る薪割り。
- うちのつるべはつぶれたつるべ、隣りのつるべはつぶれぬつるべ、つぶれぬつるべとつぶれたつるべ。
- 西空から薄雲が広がって、空っ風の寒さが身体中に感じられたのでラグオンのオーバーの襟をたてラッシュアワーのだらだら坂を下りた。
- 利口な彼が利に走り、理不尽な振る舞いも限りがなく、利が利を生んだ理非が分からず。
- 濡れワラに馬ワラ。
- 私はあなたにあわれまれたくないのです。
- 電報の電文に専門語が断片的にならんだので難問型の文面となり、ちんぷんかんぷん。
- 鴨、米噛みゃ、子鴨が粉米噛む、子鴨米噛み、鴨粉米噛む。
- 三時に自治をあずかる知事が静々と入場し難しい切実な人事訴訟事件で指示。
- 集団就職出身の消火器商が輸出商社の社主に昇進したが首相召集の祝勝会で射殺された出色私小説。
- 同大のダンディーな大投手がデッドボールも気にせず投打に大活躍、堂々単独でどんでんがえし。
- 行政監察特別委員から行政監察のため差し遣わされた査察使が警察署を査察した行政監察査察室史。
- ぴん子ちゃんとぽん子ちゃと風呂行って、ぴん子ちゃんがぽん子ちゃんの腹けって、ぽん子ちゃんがぴん子ちゃんの腹けった、ひじ鉄砲でポンポンはねつける。
- あのバックシャンは仏文出で羽振りがよく煙草を吸いビールをのみ、バーベキューとハンバーグを食べ、ビビデバビデブーを歌う。
- コンピューターが八百八町に突拍子もない発表をし信憑性を疑われた。
- 生麦 生米 生玉子 生貝 生だこ なまりぶし。
- 潮のひいた昼下がり広い干潟で潮干狩り。
- 百人が百人、北斗七星をヒシャクの形とみるでしょう。
- 赤巻紙、青巻紙、黄巻紙、長巻紙。
- おあやは、いやいや八百屋の親を負い、八百屋は、いやいやおあやの親を負う。
- 八丁味噌は卒中に、抹茶は脱腸に効くからすぐ必着するよう発注せよと坊ちゃんに言われたが率直なところ困っちゃってるよ。
- 貨客船の旅客は、貨物と一緒で旅客運賃が安い。
- 海軍機関学校、機械科 今学期学課課目 各教官協議の結果下記の如く確定 化学、幾何学、機械学、国語、語学、絵画、国家学、撃剣。
- 上の溝に、どろ泥鰌にょろりん 中の溝にどろ泥鰌にょろりん 下の溝にどろ泥鰌にょろりん 三溝三どろ泥鰌三にょろりん。
- 医者と石屋を言い違えないようお言い。
- よぼよぼの予防法にヨーヨーを要望。
- 楼門の老僧、路傍を六方。
- 夕月に ゆうゆう ゆるゆるのゆるふんで夕涼み。
- ぬるぬるのぬる湯でぬくぬく。
- 色紙に式辞、敷地に地道、しじみ汁に七味。
- バナナ屋は はなはだばかばかしい、バタ屋は はなからはかなさがある 働かすなら博多の花形百貨店だ。
- 義歯義眼義手義足おまけに擬似コレラの義兄を義理で扶養する義務がある。
- 巣鴨駒込 駒込巣鴨 親鴨子鴨 大鴨小鴨。
- 東京特許許可局の局員の許可証。
- お皿のおよもぎ餅およばれたい。
- 世の中は夢と思うも夢なれや夢を迷いというも夢なり。
- おあやや宵のうちにお湯屋へおいで。いいお湯だよ。よい湯屋だね。あのお湯屋は。
- ラジオが旅客列車脱線を伝える。
- 僧侶の思慮を伴侶は憂慮苦慮配慮。
- 官僚出の優良閣僚の本領は要領と横領。
- 瓦、俵、私の瓦、我々の俵。
- まわるまわる目がまわる。まわるまわる輪がまわる。見ている私の目もまわる。
- 全店を挙げて宣伝したのに、産地の天然物の売れゆきが前年より進展なしとは残念。
- ペンギンに敏感すぎる番犬は軟禁して林間を探検。
- 北海道の実家のすすめでこの学校に越境入学したと、うっかり日記に書き、目下学級では厄介者あつかい。
- 北氷洋のスッポンのしっぽをコップに入れ密封したものを一本、かっぱらいに失敗して引っ張られるより月賦で買おう。
- きのうの君は聞きしに勝るきれいな君。
- さあ、お立会い、江戸一番の居合い抜きの試合の腕前を。
- 兄上の里親は、砂糖屋や八百屋より愛育委員がいいんです。
- 牛や馬のように、うろうろうかうかしていると、うんうん言わされる。
- 今も胃が痛いのが、いまひとついまいましい。
- 川上からの川風で、からだが かさかさになった きゃしゃなカッパ。
- 家の前の細溝に、鰻のろり 泥鰌にょろり、鰻のろり 泥鰌にょろり。
- りりしい力士理事がリーチリーチに力む。
- 地磁気に血道の知識人の父君にちりちり。
- びしびし ひっきりなしに引き締めたら非力のヒッピーも必死。
- ルールブックに載っているルーススクラムのルール。
- せっせと整形した青年めを世間は責めねえ。
- レセプションの礼節レベルは零点。
- 放送の冒頭、母校の暴動を、ほぼ報道。
- もろもろの物も、もともとモロッコの模造の物。
- 芝の増上寺の上棟式には大僧小僧に大僧正俗人も加わり上々だった。
- ピカソが金ぴかの鉄筆で描いたピカピカのピクニックの絵がぴかっと光った。
- 外国から夏期休暇で帰国した企画局員に関し、刑事は聞き込みを開始。
- 危険区域通過か 貨客船の旅客と旅客機の乗客が訓練決行。
- 家の桐戸の桐の切り口は隣の桐戸の桐の切り口によくにた桐の切り口だ。
- 交響曲や狂詩曲は高級だが客観的に見れば空虚だと許可せず却下した。
- 顧客に謙虚な義兄弟も「呼吸器気胸療法で余興の歌曲を矯正せよ」と言われきょとん。
- 貨客船は橋脚に突き当たり 火急のことで救急車が駆けつけたが結局は苦境に立たされた。
- 客船の客室の旅客は先客よりも珍客。
- 佐賀の佐々木三郎さんと狭山の佐々佐吉さんが、さる日さる酒場で皿のサバを肴に酒をさしつさされつしていたと、さる人がささやいた。
- 生米 生松葉、生杉葉 生杉葉 二つ合せて二生杉葉、生杉葉生松葉。
- 英語言語学会に長靴を脱がずに出た山形大学の菅口さん。
- 宿舎でシャンソンを口ずさみシェーカーのシェリー酒をのむ自称実証主義主唱者が失笑。
- 医者、石屋、名刺屋、眼医者が、市役所試写室に参集、終了後、しゃあしゃあ終車に乗車。
- 司書と秘書の試験。
- 主義主張習慣趣味など多種類記述してください。
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