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社説:鳩山総務相更迭 政権の迷走は極まった

 迷走していた西川善文日本郵政社長の進退問題が12日、解決に向けてようやく動いた。麻生太郎首相は西川氏を当面続投させる考えを表明、続投に反対していた鳩山邦夫総務相を事実上更迭した。首相は「混乱が生じた印象を与えたのは遺憾。早急に解決されてしかるべきだと考えた」と語った。しかし、既に遅きに失したというべきだろう。

 政権には大きな打撃だ。首相を支えてきた盟友の鳩山氏が内閣から去るというだけではない。この日に至るまで煮え切らない態度を取ってきた首相の決断力の欠如が改めて明らかになったからだ。しかも首相は、西川氏の進退に関する最終判断は経営責任などを改めて検討したうえで下す意向も示し、なお分かりにくさも残した。今回が本当に「決断」といえるかどうかさえ疑問なのだ。

 そもそも問題の発端は今年1月、「かんぽの宿」の不透明な売却に鳩山氏が異論を唱え始めたことだ。その後、日本郵政関連では障害者団体向け割引制度を悪用する事件も発覚した。毎日新聞が指摘してきたように、西川氏の進退は、こうした問題に対する経営責任をどうとらえるかの観点から議論すべきだった。

 ところが、それをあいまいにし、首相も関係閣僚の調整に委ね続けているうちに、西川氏の進退問題は郵政民営化を積極的に推進するのか、そうでないのかという自民党内の積年の対決に発展してしまった。その意味では05年の郵政選挙は一体何だったのか、今後、民営化をどう進めるのか、自民党全体としてきちんと総括し整理してこなかったツケが回ってきたともいえよう。

 今回の件に関しては鳩山氏の主張に分があると考える国民は少なくないだろう。だが、鳩山氏も支持率低迷にあえぐ麻生首相に見切りをつけたのか、テレビカメラの前で持論は唱えるが、内閣や党を説得する努力に欠けていた面は否めない。

 結局、首相は鳩山氏に同調する形で西川氏を更迭した場合、党内の民営化推進派の反発を招くことを最も恐れたのではないか。視線は内向きだ。また鳩山氏によれば、首相は西川氏が鳩山氏に謝罪するという「妥協案」を示したという。仮にそんな手打ちのような方法で済むと考えていたとすれば国民を無視した話だ。日本郵政の一連の不祥事についてまず首相自身がどう考えているかを示さないと国民は納得しない。

 首相の決断力、統治能力の欠如に対しては与党内からも不満が噴出している。政権の立て直しのためではない。日本の政治を立て直すために一刻も早く衆院を解散し、総選挙で国民の信を問うべきだと改めて指摘しておきたい。

毎日新聞 2009年6月13日 東京朝刊

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