2009年6月13日5時29分
辞表提出後、祖父・鳩山一郎元首相の墓を訪れた鳩山前総務相=12日午後2時52分、東京都台東区、福留庸友撮影
辞表提出後、祖父・鳩山一郎元首相の墓を訪れた鳩山前総務相=12日午後2時52分、東京都台東区、福留庸友撮影
辞表提出後、祖父・鳩山一郎元首相の墓を訪れた鳩山前総務相=12日午後2時52分、東京都台東区、福留庸友撮影
今回、辞任劇の発端となったのは、「かんぽの宿」の売却問題と、東京中央郵便局の再開発計画だった。
「あのとき、大臣は泣いていた」。鳩山氏が再開発に異議を唱えた東京中央郵便局の保存運動にかかわった芝浦工大教授の南一誠さんは、3月に現地を一緒に訪れたときの姿を思い出した。日本郵政の経営陣に不信感を持つ南さんは、鳩山氏の手腕を評価する。「国民目線で純粋な気持ちを持った政治家。辞める思いは理解できるが、郵政が今後どうなるか心配だ」
かんぽの宿を地域で活用するため、オリックス不動産への一括売却の撤回を求めていた有馬温泉観光協会(神戸市)の當谷(とうたに)正幸会長は「日本郵政の経営責任が明らかにならないままでは、問題がうやむやになってしまう」と気をもむ。鳥取県岩美町のかんぽの宿は、1万円で購入した不動産会社が6千万円で社会福祉法人に転売。その法人の関係者も「鳩山氏は転売問題の解明に努めてくれていたので、辞任は気の毒です」。
一方で、冷ややかな声も少なくない。郵政民営化を推進してきた猪瀬直樹・東京都副知事は、都庁で辞任のニュースを生中継で見ながら、「かんぽの宿問題で、ろくに検証しないまま、鳩山さんは言い過ぎた。なぜ今辞任なのか理解できない。西川社長と協力して問題を一つずつ片づけるしかなかったのに」と首をひねった。
安倍、福田の両内閣で法相を務めた時代に、その発言に振り回された経験を持つ法務省幹部らの視線も冷たい。「主張が通るはずがないのに、なぜあそこまで意地を張ったのか。また、目立ちたがり屋のクセが出たのか」
世論を味方に付ける政治的な勘には、省内でも一定の評価があった。「かんぽの宿問題で世論から喝采を浴び、今回も世の中がついてくる、と思ったのだろう」。ある幹部はこう分析した。