2009年6月13日5時29分
辞表提出後、祖父・鳩山一郎元首相の墓を訪れた鳩山前総務相=12日午後2時52分、東京都台東区、福留庸友撮影
辞表提出後、祖父・鳩山一郎元首相の墓を訪れた鳩山前総務相=12日午後2時52分、東京都台東区、福留庸友撮影
辞表提出後、祖父・鳩山一郎元首相の墓を訪れた鳩山前総務相=12日午後2時52分、東京都台東区、福留庸友撮影
英断か、それとも蛮行なのか。数々の発言で話題を集めてきた鳩山総務相が12日、日本郵政の西川善文社長の人事をめぐる対立で「歴史が私の正しさを証明してくれる」とまで言い切って辞任の道を選んだ。同情や共感を寄せる人がいる一方で、冷ややかな視線を送る人たちもいる。
「世の中、正しいことが通らない時があるんだなと、今はそういう思いです」
官邸で辞表にサインをしたばかりの鳩山氏は、記者団の取材に応じた3分余の間に、9度も「正しさ」「正義」と繰り返した。「正しいことが通用しなかったら、潔く去るべきだ」。うっすらと涙を浮かべながらも、そのたびに語気を強めた。
東京都内で祖父・鳩山一郎元首相の墓参りをした後、ある病院を訪れた。「娘の子どもが生まれたんだよ」と報道陣に明かし、「名前はマサヨシがいいかな。『正義』」。
「正義」にこだわった形での辞任。かつて鳩山氏の秘書を務めていたジャーナリストの上杉隆さんは「『自分が正しい』というスイッチが入ると止まらない性格」が影響したと考える。「今回の問題でも、一貫して正しいと思っているから、一切妥協はしなかった」
上杉さんによると、この日、鳩山氏は周囲に「西川氏と刺し違えるつもりはあったが、自分だけが辞めることになるとは夢にも思っていなかった」と打ち明けたという。「麻生さんには裏切られた気がしているだろう」と心中を推し量った。
アルピニストの野口健さんは鳩山氏の数々の「問題発言」も「確信犯的にメッセージを発したものも多く、『よく言った』と思ったものもあった」と受け止める。
環境問題の勉強会で知り合い、政界入りを勧められたこともある。「今回の発言と辞任も、自民党内では『空気が読めない』感じかもしれないが、一般には鳩山氏に共感する人が多いのでは」