この時期になると、ふくよかな顔の女性が脳裏に浮かぶ。自民党の小池百合子衆院議員である。環境相時代に、男性がネクタイを外す夏の軽装「クールビズ」を提唱し定着させた。
直接的な狙いは地球温暖化対策だ。エアコンの設定温度を上げ、二酸化炭素などの温室効果ガスを減らす。発想の背景には、高温多湿な日本の夏場に暑苦しいネクタイ姿の男性が気の毒だったとの思いがあったとする。
季節に合わない無用の物を「夏炉冬扇」という。蒸し暑い日のネクタイは、まさに夏の囲炉裏(いろり)だったかもしれない。冷房が効き過ぎたオフィスで震えていた女性からも感謝されたそうだ。
麻生太郎首相が新たな温暖化対策を打ち出した。日本の温室効果ガスの排出量を、2020年に05年比で15%減らす中期目標である。首相は「極めて野心的なものだ」と胸を張った。
野心的かどうかの評価は大きく分かれるが、いずれにしても日本はかなりの覚悟を持って温暖化対策を強化する必要がある。企業や家庭などで、さまざまな取り組みが求められる。
クールビズと呼べば今風だが、昔の男性は開襟シャツを常用していた。考えてみると、打ち水、すだれなど古くからの手はいろいろありそうだ。将来の世代にツケを回さないよう、身近な所でも工夫を凝らしたい。