京都府舞鶴市の中古車輸出入会社が北朝鮮にタンクローリーを不正輸出しようとした事件で、兵庫県警は、国連安保理決議の経済制裁に伴い、政府が輸出禁止を定めた乗用車などの「ぜいたく品」を不正輸出していたとして、同社社長、鄭麟采(チョンリンチェ)(日本名・盛田忠雄)容疑者(50)=外国為替法違反(不正輸出)容疑で逮捕=を9日、同法違反容疑で再逮捕する方針を固めた。県警によると、経済制裁に反した不正輸出での摘発は全国初という。
捜査関係者によると、鄭容疑者は昨年10~12月、北朝鮮へ輸出が禁止されたベンツ数台とピアノ数十台を、神戸港から中国に輸出するように見せかけ、北朝鮮に輸出した疑いが持たれている。
政府は06年11月、北朝鮮の核実験(同年10月)に伴う国連安保理決議を受け、宝石、貴金属や乗用車、楽器など24品目の「ぜいたく品」を北朝鮮に輸出することを禁止。外為法では、北朝鮮への輸出には国の承認が必要としている。
神戸地検は8日、タンクローリーの不正輸出を巡る外為法違反(不正輸出)と関税法違反の罪で、鄭容疑者を神戸地裁に起訴した。【内田幸一】
毎日新聞 2009年6月9日 東京朝刊