2009年6月12日(金)
地域 : 森の写真動物記完結 宮崎学さん「草食獣」「肉食獣」刊行
更新:2009-5-23 6:00

 駒ケ根市在住の動物写真家宮崎学さんの新著「草食獣」と「肉食獣」の2冊が偕成社から刊行された。「森の写真動物記」シリーズの7、8巻目で、2006年10月の第1巻「けもの道」からスタートした同シリーズが完結した。新刊の2冊では、身近な森に生息する動物たちの生態を独自の撮影技術で生き生きと写し出し、ニホンジカの急増などに代表される「バランスを欠いた自然」を独自の視点で警告している。

 「草食獣」で取り上げたのはノウサギ、カモシカ、ニホンジカの3種類。この中で高山植物などが被害を受けているニホンジカの増加について宮崎さんは、「オオカミという天敵がいなくなり、冬に葉を落とすカラマツ林が増えたことでクマザサが増え、それがシカの冬場の食料になった」ことを理由に挙げる。

 その上で、「草食獣は肉食獣に食べられることで命の輪をつなぐ大切な役割を果たしているが、『食べられない』つまり殺されない状況は本来の自然ではない」と指摘。さらに、山間地の道路で大量にまかれている融雪剤に注目し、「塩分に飢えているシカたちが見逃すはずがない。この数十年でシカが急速に増えた背景にはこうした事情もあるのでは」としている。

 「肉食獣」で取り上げたのはキツネ、タヌキ、イタチ、テン、オコジョの5種類。冬に死んだシカ の死がいが動物たちに食べられて半年後には最後に残った毛もなくなり、元の自然 の大地に戻ってしまう様子を紹介し、肉食獣たちの役割を「獲物を食べることで自然の中の命を絶えず若返らせ、環境のクリーニングをしている」と指摘する。

 水中でフナを捕まえるイタチの姿など、決定的な瞬間をとらえた写真も多く、「多くの人が、身近な場所にいる動物たちの生態にあまりにも無関心。海外の動物を楽しむのも悪いことではないが、日本に住む小さな肉食獣たちの暮らしを知ることが、足元の自然を見直すことになる」と強調している。

 森の写真動物記「草食獣」「肉食獣」は、各巻40ページで定価2100円。

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