コンビニのセオリー外!? 雑誌は売り上げが減っても売り場を縮小しない理由
コンビニの窓側にズラッと並ぶ雑誌。コンビニには売れる商品しか置かない原則がありますが、雑誌についてはこの原則が当てはまらないケースがあるのです。
著者プロフィール:笠井清志
船井総合研究所シニアコンサルタント。複数企業でキャリアを磨き、船井総合研究所の経営コンサルタントとして従事する。コンビニ本部等の多店舗展開チェーン企業へのコンサルティングを中心に活動。クライアント先である「NEWDAYS」の平均日販を日本一に押し上げたことが話題になる。月刊コンビニ(商業界)で連載を持つほか、著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。
コンビニの窓側にズラッと並ぶ雑誌。コンビニには売れる商品しか置かない原則がありますが、雑誌についてはこの原則が当てはまらないケースがあります。コンビニでは1品1品の商品販売動向(○月○日○○時に何個販売した)の情報がPOSデータとして細かく管理されていますが、雑誌の販売動向についてはここまで細かく管理されていることはまれです。
このため、通常商品であれば、
- 「売れる商品」……発注数量の増量、売り場の拡大
- 「売れない商品」……発注数量の減量、品揃え中止、売場の縮小
という商品管理をしますが、残念ながら雑誌についてはそこまで商品管理ができていません。
雑誌ゴンドラ(売り場)は一般的なコンビニであれば、横幅90センチのゴンドラが5つ並んでいます。ゴンドラ5本というのは、「チョコレート菓子」+「スナック菓子」とほぼ同じ面積を占めます。雑誌の種類は、女性誌、情報誌、テレビ誌、漫画、ギャンブル誌、男性誌などです。なお、最近はビジネス誌の取り扱いも増えてきました。
ここまで読むと賢明な読者は、「雑誌って売れるんだ。伸びているんだ」と思われるかもしれませんが、残念ながら雑誌の売り上げは継続的に前年を下回っています。これはコンビニでも同じです。つまり雑誌は、売り上げが下がっているのに、「売り場が広く」「品揃えが多い」商品なのです。
「売り場面積を減らして品揃えを厳選しないと売れ残りが出て困るのでは?」と思う人もいるかと思います。その点については、それほど問題ではありません。雑誌は返品ができるからです。このため、ここ数年は雑誌の返品率が上昇していますが、店側としてはそれほどリスクが高い商品ではありません。その一方で、雑誌の粗利率は約25%と低くなっているのです(通常商品は約30%)。
ちなみに、雑誌の売り方で成功しているのは、当日発売の商品を目立たせる「発売日商品の前面陳列」です。店舗によっては、レジ前に当日発売商品を陳列してアピールしているところもあります。これは逆説的に考えると、消費者の前日発売雑誌への関心度が低いことも示しています。
また、週末(特に日曜日)にコンビニに行き、雑誌売り場を見てください。大半の店舗の雑誌売り場はガラガラです。これは、週末に雑誌が発売されないのと、多くの雑誌が返品された結果ガラガラになっているのです。コンビニでは返品もとても回転が速いので、欲しい雑誌は当日、もしくは発売数日で購入することをお勧めします(笠井清志)
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