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【社会】

20億人感染の恐れも 新型インフル 途上国の被害懸念

2009年6月12日 朝刊

 【パリ=清水俊郎】日本では終息ムードも漂う中、世界保健機関(WHO)が世界的大流行宣言に踏み切った背景には、世界的な感染拡大が収まらない現状がある。

 今のところ重症者は多くないが、妊婦や乳幼児、健康にリスクを抱えた人たちにとっては、死に至る恐れもあるウイルスの急速な拡大は重い。多くの人が同時に感染すると、保健医療の機能がまひする国もある。

 「貧しい国、弱い人たちの被害が深刻になる」とチャンWHO事務局長。日本や英国などが警戒水準の引き上げに慎重さを求める中、WHOが「人類全体の危機」「世界的大流行が近づいている」と強い警告を発し続けた理由はそこにある。

 WHOは今後、世界中で約二十億人が感染する恐れもあるとみている。「致死率が0・1%以下だとしても単純計算で死者は数百万人に及ぶ」とWHO緊急委員会の田代真人氏。

 さらに新型ウイルスには未知の部分が多く、今後どのように変異するかは誰も分からない。北半球での本格的な流行は秋以降で、第二波、第三波こそ怖いとの見方もある。侮ることは禁物だ。

 

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