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この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

森見登美彦日誌RSS

2009-06-11

[] 登美彦氏の長女っぽい本、マンガに出る。


 森見登美彦氏は噂を聞きつけた。

 そして、仕事帰りにコンビニに寄ってマガジンを買った。

 するとどうだろう、久米田康治氏のマンガ『さよなら絶望先生』に乙女っぽい本が登場しているではないか。

 「おお!」

 登美彦氏はびっくりした。

 「まさか『さよなら絶望先生』に登場するとは。。。」

 登美彦氏がそうやって感慨に耽っていると、

 妻がトコトコやってきて、マガジンを覗き込んだ。

 そして「出世しましたね!」と言った。

 「出世した?」

 「出世した!」

 「出世した!」

 「出世した!」

 そういう風な夜であったという。

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2009-06-08

[] 登美彦氏はスタート地点につき、ピストルが鳴る。


 森見登美彦氏が草原に立っている。


 空は美しく晴れ上がり、良い薫りの風が渡っていく。

 ウエハースのように薄っぺらい白い月が浮かんでいる。

 さわさわとうねる草がまるで海のように見渡すかぎり広がっている。

 目的地はいささか遠いので、まだ見えない。

 

 登美彦氏が後ろを振り返ると、15日分ほど後ろに、締切次郎の姿が見えた。

 「おお、意外に近くにいる…」

 登美彦氏はどきどきした。


 やがて登美彦氏は靴ひもをしっかりと結び直し、位置についた。

 「そろそろ参りましょう」と言った。

 妻が洗いものを終えて手を拭き、トコトコとやってきた。

 「よーい」と言い、ピストルを月に向けた。


 「パンッ!」


 ピストルが鳴ると同時に、登美彦氏は走りだした。

 ぽてぽてと締切次郎たちも腹を揺らして走りだした。


 そういうわけで、登美彦氏はこれからしばらく逃げ続ける。

 「人生は逃亡である」

 と、登美彦氏は言っている。

 

2009-06-04

[] 登美彦氏、人前で美女と喋る。

 

 森見登美彦氏は「うーん」と唸っている。

 そして、まるで試合前のボクサーのように座っている。


 「そんなことより!そんなことより!」

 一日に一匹ずつ発生する小さな締切朝日次郎が、登美彦氏のまわりを飛び跳ねている。

 「筆のすすみ具合はどうなの?ねえねえ、どうなの?」

 登美彦氏は眉間を指で押さえる。「待て」

 「ねえねえ!」

 「待てというのに」

 登美彦氏は録画しておいた「あらびき団」を観ている。

 登美彦家ではついにブルーレイレコーダーDIGAを購入したのだ。

 もちろん、この素晴らしい文明の利器を導入した最大の目的は、

 神山監督の「東のエデン」を観るためである。

 「それにしても、まさかアニメで『ジョニー』という言葉を(人名の意味以外で)聞くことになろうとは。。。」


 登美彦氏が真剣に「東のエデン」を観ていると、

 締切次郎がうろうろする。

 そして「朝日新聞果糖さんに言いつけるから!」などと言う。

 「言いつけたければ言いつければいい」

 登美彦氏は開き直った。「果糖さんなんか怖いものか」

 「またそんな風に強がるんだから!」

 「いいのだ」

 「原稿が間に合わなかったら、果糖さんに書いてもらうから!」

 「なに!」

 「オ○○イとか○ッパ○とか、そういうことをたくさん書いてもらうから!」

 「それは、すでに、たくさん書いた。もうじゅうぶん。。。」

 「それよりも、もっともっと、たくさん書いてもらうから!」

 「いくらなんでも、それはまずい」

 

 登美彦氏はやむを得ず机に向かう。

 そうしてもやもやと考える。

 「アッ!」と言う。


 ここで読者の方々にお知らせである。

 七月頃、人前で話すのが苦手な登美彦氏が人前に出て喋る。

 すべては次女のためかと思いきや、それだけではない。

 理由は以下の場所へ行けばおわかりになるだろう。



 お知らせ(集英社のサイト)

 http://www.shueisha.co.jp/morimi/


 

 「どうも申し訳ございません。色々な意味で!」

 登美彦氏はぶつぶつ言う。


 そうして気がつくと、妻と締切次郎が部屋の隅でくるくる踊っている。

 「分かったから!」

 登美彦氏はまじめに机に向かう。

 「分かったから静粛に!」 

 

2009-06-01

Tomio2009-06-01

[] 登美彦氏、近日中に連載を始める。


 本日の朝日新聞夕刊に予告されたように、

 森見登美彦氏の新作が6月9日の夕刊より掲載される。

 タイトルは『聖なる怠け者の冒険』である。

 

 そして登美彦氏が作者の言葉で語ったように、

 作者とともに読者もハラハラされるがよい。

 

 「人生も連載も、一寸先は闇」

 と登美彦氏は言っている。

2009-05-31

[] 登美彦氏、柳小路を抜ける


 森見登美彦氏は籠城していた。

 こめかみから脳が洩れるほど籠城した。

 が、ついに怒り心頭に発して仕事場から脱出した。

 とくに行く当てはない。


 イヤな匂いのする脂汗を流しながら錦市場を駆け抜け、

 寺町新京極の雑踏を抜け、

 ふと気づくと、柳小路という細い路地へ迷い込んでいた。

 そこには、哀れな登美彦氏を守る「八兵衛明神」という狸の神様が祀られている。

 といっても、目に見えるのは狸の置物の集合体である。

 登美彦氏はその集合体に手を合わせて祈った。


 「どうか私を締切朝日次郎の魔手からお守りください。なむなむ」


 空は曇り、雷鳴が轟いた。

 登美彦氏が顔を上げると、狭い路地の向こうから、小粒のおっさんがたくさんやってくる。無数の眼鏡がピカピカと輝き、小太りの無数の腹がぷよぷよし、無数の紐ネクタイが揺れている。

 「ワッ、たくさん来た!」

 登美彦氏は逃げようとしたが、時すでに遅し。

 路地の反対側もすでに小粒のおっさんに覆い尽くされているではないか。

 前門のおっさん、後門のおっさん。


 登美彦氏は柳小路の真ん中で、

 「ごめんなさい。もうしません」

 と土下座した。

 しかし締切次郎たちはぷつぷつと可愛い声を上げながら、

 静かに、そして確実に間合いを詰めてくる。


 狭い柳小路は小粒のおっさんに覆われ、そのほかのものは何も見えない。

 氏が勇気を出して手近なおっさんたちをなぎ払うと、

 路地の北の端で、次女が万華鏡を振り回しているのが辛うじて見えた。

 ぴょんぴょん跳ねながら、氏を呼んでいる。

 

 「お父さん、お父さん。へこたれとる暇はないよ!」


 さらに反対側のおっさんたちをなぎ払うと、

 路地の南の端で、小型化した次男三男が、きつねの面をつけて静かに立っている。


 「父上、もうじきワタクシも小粒になります」

 

 それにしても筆者は思うのであるが、

 登美彦氏の日常を擬人化して書くと、コレは本当にもうわけがわからない。

 反省しきりであるが、書いてしまったものを訂正するほどではない。

 ということはつまり、反省していないも同然ではないのか。

 というわけで、今日のところはサヨヲナラ。