2009年6月12日10時56分
新型の豚インフルエンザの日本国内での流行について、オランダ・ユトレヒト大の西浦博研究員(理論疫学)らが患者1人から二次感染する人数を推計したところ、20歳未満は2.8、全患者の平均は2.3となり、未成年が感染拡大の中心になっていることが裏づけられた。欧州の感染症専門誌ユーロサーベイランスに発表した。
国内の5月9日〜6月1日の感染361例をもとに、伝染病の感染力の数学的な物差しとなる「基本再生産数(R0(ゼロ))」を調べた。R0はウイルスの特徴、人の免疫の動きなどから推計する。1以上のときは感染が広がり、1未満になると流行は終わる。
日本では高校生など10代の感染が目立った。今回の推計で、20歳未満のR0は成年より高いことが確認された。
一方、兵庫県や大阪府で学校閉鎖や感染源を突き止めるための追跡調査が行われている間は、未成年からの二次感染者数は1を下回っていた。西浦さんは「未成年による流行拡大を効果的に予防できたと評価されるべきだ」と指摘している。
今回推計されたR0は、世界保健機関(WHO)などのチームが4月末時点のメキシコで推定した1.4〜1.6より高かった。R0は人との接触機会といった社会環境などにも左右され、日本のウイルスが特に危険というわけではないという。(小堀龍之)