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海外の自然医療事情

欧米に比べ、残念ながら、研究・臨床・教育の各面で日本の自然医療の普及は遅れています。欧米各国の進んだ状況をご紹介します。


1 米国
(1) 政府の姿勢
@ 予算措置・研究体制
  1999年、米国立衛生研究所(NIH)内に国立補完代替医療研究センター(NCCAM)を設立。
  NCCAMの代替医療研究予算は年々上昇し、2003年予算はガン治療と同程度となった(設立当初の56倍である11,382万ドル)
  2000年、ホワイトハウスに補完代替医療政策委員会を設置し現在も活動中。
U 予算措置・研究体制
  1994年健康補助食品教育法施行。栄養補助食品野ハーブなどの販売規制緩和
→1997年漢方薬年間30億ドル/ハーブ60億ドル市場に
(2) 利用状況
  1990年、16種の代替医療のうち少なくとも一つの利用した人は米国成人の34%。1997年、同利用率は42%に上昇。
  1990年、代替医療法者への外来回数は延べ4億2700万回。
 この数は、かかりつ医への外来回数3億8800万回を超える。
 1997年の代替医療法者への外来回数比は1990年比47.3%の伸びを示す。
(3) 保険会社・医師会の動向
@ 保険会社:カリフォルニア州などで、代替利用(*)を医療保険に適用する
 保険会社が増加。(*:カイロプラクティックと鍼灸が中心)
U 医師会:米国医師会は、代替医療を科学的に調査すべきという考え方に移行中。
(4) 教育機関の状況
  全米の医学校125校のうち、75校(60%)が代替医療に関する講義(123コース) を設置。
2 英国
(1) 政府の方針
  1991年、英国保健省が「開業医は補完医療の治療家を自分のクリニックで雇用してもよい。その費用は国の保険でまかなう」という決断を下す。
  1883年、The Research Council for Complementary Medicine(RCCM:補完医療研究会議)が設置され、英国王室基金の援助を受け、代替医療に関するデータベース並びに研究機関、研究者間のネットワーク構築を行っている。
  国家レベルの代替医療研究5ヵ年計画(チャールズ皇太子発案)
(2) 利用状況
  1993年、年間1,000〜1,200万人、10人に1人がCAMを利用。1997年には2倍に増加し、5人に1人が利用。
  最も利用されている療法はハーブ。針治療と同じく男性利用が多い。女性はアロマ治療利用者が多い。
  74%の人がNHSで代替医療を利用すべきとしている。
  英国王室の主治医には代々必ずホメオパシーの医者がいる。
(3) 医師・医師会
  1960年代、医師の登録機関であるGMCが、「最終的に医師がその治療の臨床的な責任を負う場合に限り、補完医療の治療家に治療を任せても良い」という決断をくだす。
  医師の補完医療に対する関心は高く、8割近い医師が補完医療を信頼。
  英国医師会(BMA)は、2000年7月、鍼の効果に肯定的な報告書を発表。
  ただし、英国医師会(BMA)は患者保護のため、鍼灸、ホメオパシー、漢方薬等の開業医に対し、倫理上のガイダンス及び警告や法律上の規制を定め、これを取締まる機関を設定する必要があると指摘している。
(4) 教育機関の状況
  医師全体の40%が代替医療の研修を希望している。

3

その他
(1) ドイツ
  2003年時点では主要先進国中、最も代替医療を活用している。
  医学生はCAMの知識は必修。医師国家試験に出題される。
  既に現場の医療関連サービスの中で、様々な分野の代替医療が利用されている。
 例)ペインクリニックの臨床では70%が鍼治療を実践。
   痴呆改善に効果がある銀杏葉エキスは医師の処方する医薬品。
   ナチュロパシー(自然医療)やハーブ療法、ホメオパシーが盛ん。
(2) フランス
  代替医療ではホメオパシーが最も利用されており、利用者数は1982年16%、1987年29%、1992年36%と増加している
  鍼、オステオパシー、カイロプラクティックは医師によって行われている。
 

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