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先端技術技術の続出が深刻化

 昨年9月初め、大田市にあるベンチャー企業J社の研究所長(41)は、社長が出張に出ている間に社長と自分だけが暗証番号を知る部屋にひそかに立ち入った。そして、自分のMP3プレーヤーに同社が開発した「水素貯蔵合金技術」の図面をコピーし持ち出した。冷暖房のエネルギーを90%節約できる先端技術だ。所長は乾電池を生産する中国のY社に技術を手渡した。

 所長は先月、国家情報院産業機密保護センターの通報を受けた警察の捜査を受け、警察に検挙された。所長はY社から契約金200億ウォン(約15億6000万円)と副社長への就任、外国製自動車の支給、月5万元(約71万3000円)のインセンティブなどの条件を確約されたが、このうち前渡分の1700万ウォン(約2億4000万円)しか受け取れなかった。一方、ドイツ企業との契約が解消されたJ社の被害額は10億ユーロ(約1380億円)に達したとみられる。

 不況の進行で産業技術の流出が深刻化している。以前は半導体、携帯電話など情報通信分野に集中していた技術流出が、最近は精密機械、化学など全産業分野に拡大している。

 サムスン経済研究所は11日、「日々深刻化する産業技術流出」と題した報告書で、2004年は26件にすぎなかった産業技術流出の摘発件数が昨年は62%増の42件に達したと指摘した。技術が流出したことで予想される被害額も04年の33兆ウォン(約2兆5800億ウォン)から昨年は80兆ウォン(約6兆2500億円)に膨らんだ。04年から08年まで5年間の摘発件数の半分(85件)は中国企業への技術流出を図ったものだった。

金正薫(キム・ジョンフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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