「死ぬんなら東京都内で死ぬね」とある警察官。理由を聞くと「都内と県内の監察医の態勢は雲泥の差。費用も都内ならタダなのに県内は5万円」▼人が死んだ場合、検視・検案した上で犯罪性があるとなれば、警察が令状をとって「司法解剖」する。犯罪性はないが死因が判明しない異常死は必要なら「行政解剖」する。この行政解剖の費用が都内では公費で賄われるが、県内では遺族負担。解剖する監察医の数は東京は23区内だけでも常勤・非常勤あわせて58人に対し県内は4人という▼警察官は続ける。「病死と思って切ってみると、頭をぶつけて死んだ災害死だったってケースも聞く」。生命保険協会によると「一般的に病死も災害死も保険金は変わりませんが、火災や災害特約に入っていると変わってきます」▼個人的には自分が死んだ後に解明される死因なんてどうでもいい。ただ残された人が納得できる態勢だけは整えてほしい。【吉住遊】
毎日新聞 2009年6月12日 地方版