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【主張】北方領土特措法 四島返還に世論の喚起を
北方領土を「わが国固有の領土」と初めて明記した北方領土問題解決促進特別措置法改正案が衆院本会議で全会一致で可決された。
改正案には、国の新たな責務として「北方領土の早期返還を実現するため、最大限の努力をする」と明記され、北方四島のロシア人住民との「ビザなし交流」促進なども盛り込まれている。
改正案は参院に送付され、今国会で成立する。北方領土が日本領であるとの法的位置付けを明確にし、返還運動へ国民の関心を高める意味で評価したい。日本政府は改正後、元北方領土住民の高齢化に伴う返還運動の後継者育成支援や返還運動、啓蒙(けいもう)活動推進の環境整備を速やかに進めるべきだ。
1982年に同法が制定されてすでに四半世紀がたつ。北方領土問題は学習指導要領に明記されているにもかかわらず、学校教育での指導は十分でなく、国民の理解もさらに深める必要がある。最近は「わが国固有の領土」をロシアと面積で折半して平和条約を締結するという不可解な論まで浮上するほどになっていた。
ソ連は第二次大戦末期の1945年8月9日、当時有効だった日ソ中立条約を破って対日参戦し、日本が降伏文書(ポツダム宣言)を受諾した後に、北方四島と後に呼ばれるようになった択捉、国後、色丹各島と歯舞群島を次々と占領した。しかも以来60年以上、四島の不法占拠を続けている。その記憶を歳月とともに風化させてはならない。
ロシアのメドベージェフ大統領は先月29日、麻生太郎首相が先に「戦後60年以上、ロシアによる北方領土の不法占拠が続いているのは遺憾」と発言したことに対し、「クリール(千島)諸島へのロシアの主権を疑問視するような日本の企ては、受け入れられない。こうした行為は交渉継続を促進しない」と日本側を批判した。
7月にはイタリアでの主要国首脳会議(G8サミット)の際に日露首脳会談が予定されている。日本はロシアの不法を許さず、固有の領土である四島を取り戻すという原則を貫いてほしい。
日本には、韓国に不法占拠されている竹島や、韓国資本の土地買い占めが問題となっている対馬、さらには昨年末、中国海洋船に領海侵犯された尖閣諸島がある。大切なのは領土や領海を自らの力でどう守るかである。