『東南角部屋二階の女』リリースを記念して、
西島秀俊さんにインタビュー!!
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2009年4月3日アップ:

様々な問題から逃げ、
同じ古アパートで暮らすことになった3人の男女。
生きることに真剣になれずにいた彼らだったが、
年老いた人々との交流をきっかけに、
自分たちの人生と向き合っていく…。
5月2日にトランスフォーマーからリリースされる
『東南角部屋二階の女』は、
黒沢清や北野武に師事した
注目の新人女性監督・池田千尋の長編デビュー作。
西島秀俊と加瀬亮という
邦画を牽引する2大人気俳優が共演。
気持ちの微細な揺れを見事に描いている。


編集部 とても静かにストーリーが展開する作品ですね。

西島 誰かが死んだり、物が破壊されるようなことが
まったくない映画であるにも関わらず、
たくさんの方が劇場に足を運んでくださり、
良い映画でしたという感想を数多くいただきました。
この映画は、
ストーリーやキャラクターのセリフ以上のことが
起こっている映画だと思うんです。
そういうことがお客さんにもきちんと届いていて、
作品の本質を感じ取ってもらえたのだと思います。



編集部 97年製作の『2/デュオ』のプロデューサー、
カメラマンと再びタッグを組んだ作品です。

西島 プロデューサーの磯見さんとは、
『2/デュオ』と『帰郷』でご一緒しています。
そういえば、どちらも人が死なない映画ですね。
どちらも僕にとってはとても大きな映画。
しかも、公開された時よりも、
時間が経てば経つほど存在が大きくなってきているんです。
カメラマンのたむらまさきさんとは
『2/デュオ』以来でしたが、
そのお二人から声をかけていただいたので、
ぜひお願いしますという感じでした。

編集部 監督は撮影当時は27歳の池田千尋さんです。

西島 東京芸大の卒業制作の上映を見に行っていて、
その時にすさまじい才能の方がいるなと思っていたので、
若い監督と組むという感覚ではなく、
才能ある監督とお仕事が出来るという感覚でした。
卒業制作はユーロスペースで公開されて、
普通に客として見に行っていたんです。

編集部 とてもナチュラルな芝居が楽しめる作品という印象でした。

西島 いつも僕は、
撮影現場で起こることを信じる、ということを
大切にして演技に臨むんですが、
今回は特にそういうものが強い現場でした。
たむらまさきさんの撮影スタイルもそうですが、
共演した方々の演技の質もそう。
たき火をしていて加瀬さんと言い争うシーンは、
急きょその場で殴り合うことになったんです。
普通はカメラポジションを決め、
照明を作り、役者を呼んで、
テストをして本番じゃないですか。
フレームを無視するというのは通常はあり得ないんですが、
そのくらい自由にやっても良い現場でした。
ギリギリまでみんなで試行錯誤をしていましたね。



編集部 池田監督は長編デビューでありながら、
とても厳しく撮影に臨んでいたのですね。

西島 余計なカットを1カットも撮っていません。
押さえで撮っておきましょう、
というシーンをやってしまうと、
映画に使わなくても、撮影をした時点で
映画が変わってしまうということなんでしょうね。
池田監督とたむらさんは
ものすごくディスカッションをして、
カットの必要性を考えていました。
とにかく、池田監督の意志の強さは素晴らしいです。



編集部 香川京子さんは『東京物語』などで知られる名女優です。

西島 偉大な女優さんですから、
一緒に演技をするということだけじゃなく、
控え室にいらっしゃるだけでも
ものすごいものを見せていただいている
という感覚でした。
共演することが決まった時は、
こんな幸せなことはないと思いましたね。

編集部 現代の若者が持つ人生の迷いを、
日常を丹念に歩んできた年老いた人々と対比させることで
浮き彫りにしています。

西島 どうやって生きていけば良いのかが分からない。
仕事はしていて先は見えているのに、
それが間違った道ではないかと
疑問を持って生きているという若者は、
現実に多いのではないでしょうか。
僕や加瀬さん、竹花梓さんが演じた3人は、
まさにそういう若者たちです。
そんな若者がいる一方で、
正しいことを黙々とやってきた年配の方たちがいる。
世代を越えて理解するのは難しいことですが、
年配の方の考え方を理解することで、
生きるヒントを得ることが出来ると思います。


文/鈴木文彦 写真/橋本中(asset)
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西島秀俊(にしじま・ひでとし)
1971年3月29日、東京都生まれ。
『居酒屋ゆうれい』(94)で映画デビュー。
以降、黒沢清監督作『ニンゲン合格』(99)、
北野武監督作『Dolls ドールズ』(02)、
犬童一心監督作『メゾン・ド・ヒミコ』(05)など、
名匠の話題作に次々と出演。
近作では『丘を越えて』『休暇』『真木栗ノ穴』など。
公開待機作には『蟹工船』(SABU監督)。

『東南角部屋二階の女』
『蟹工船』の西島秀俊、『硫黄島からの手紙』の加瀬亮が競演する、女
流の初監督作。古アパートに住む3人の若者が、不安と焦りに駆り立て
られながらも、出会いを通じて真剣に自分と向き合い始める姿を描く。

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監督/池田千尋
出演/西島秀俊、加瀬亮、竹花梓、塩見三省、高橋昌也、香川京子、
大谷英子、赤堀雅秋、浜田晃、利重剛  
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【DVDセル情報】
東南角部屋二階の女
プレミアム・エディション

発売元/トランスフォーマー
販売元/トランスフォーマー
発売日/2009年5月2日
品番/TMSS-130
POS/4522178007309
税込/4935円 税抜/4700円
特典/メイキング、舞台挨拶、予告編、フォトギ
ャラリーほか(予定)  
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【DVDレンタル情報】
東南角部屋二階の女
発売元/トランスフォーマー
販売元/トランスフォーマー
発売日/2009年5月2日  
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