社会
感染ルートはどこ? 新型インフル疫学調査難航
新型インフルエンザ対策で、感染者と接触した人をさかのぼる「積極的疫学調査」が難航している。国立感染症研究所(感染研)などは、神戸の感染者の多くは高校生で、部活動を通じた接触が主な感染ルートと推定する。だが、ウイルスはいつ空港などの検疫をすり抜け、運ばれてきたのか。世界保健機関(WHO)の世界的大流行(パンデミック)宣言にも影響した日本の感染拡大のきっかけは、容易に解明できそうにない。(社会部・石崎勝伸、東京支社・永見将人)
感染研の支援チームが神戸入りしたのは、神戸で国内初の感染者が確認された5月16日。市保健所の職員とともに、感染者の聞き取り調査を進めた。主な対象は18日までに入院した49人で、関連する渡航歴はなし。このうち39人が高校生・高等専門学校生で、バレーボール部など運動部内での感染が目立ち、学校間の催しや大会を通じ拡大したと推定した。
だが、調査した砂川富正主任研究官は「なぜ運動部か、と問われると『そこで多くが接触したから』と結果を答えるしかない」と話す。
一方、高校生以外は少なくとも7人の感染ルートが不明。うち4人は駅構内の売店店員ら不特定多数の人と接する職種で、仕事中に感染した可能性があるという。
「感染者の家族の発症は10%以下という印象。きょうだいの割合が最も高いようだ」と砂川研究官。高校生らの親は発症が少なく「感染しても発症したのは一部かも。発症の可否は免疫の度合いにもよる」とみる。
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確認できた最も早い国内での発症日は、神戸の男子高校生の5月5日。だが、感染研は、抗インフルエンザ薬の処方状況から、4月28日に神戸で感染者が出ていた可能性がある-との分析結果をまとめた。
最初の発症例から日数がたつと、症状がなくなった感染者をさかのぼるのはいっそう困難だ。血清を採取し、免疫の有無を調べる方法があるが、砂川研究官は「新しい感染症なので検査態勢が整うまで時間がかかる」。さらに「確証もない人に『検査させてくれ』と言えない。あとは個人の記憶頼みで、何日も過ぎると思い出してもらえないこともある」と話す。高校生の行動範囲の広さも調査を難しくしている。
神戸で聞き取りできた感染者43人の濃厚接触者は2728人に上る。だが、現段階では、大阪府内の感染者との関連を示唆するものも見当たらないという。
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神戸での感染確認は散発的になっている。「全県的な休校措置が有効だった。街中の警戒度も高まり社会的な協力もうまく作用したのでは。散発例は感染者同士に関連があり、流行は終息に向かっている」と砂川研究官。
ただ、疫学的な完全終息は潜伏期間の2倍の間、感染者が発生しない状況を指す。新型の場合、発生しない状況が2週間は必要だ。「再び感染者が急増する可能性もゼロではない。重症例が出る恐れすらある」。砂川研究官は「警戒を緩めるべきではない」と強調する。
(6/12 09:52)
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