国連安全保障理事会が新たな北朝鮮制裁決議案を固めたことを受け、政府は11日、公海上での船舶検査を可能にするため、国内法整備を今国会で行う方向で検討に入った。だが海上自衛隊と海上保安庁のどちらが実施するかなど、課題は多い。「今国会での成立は困難」(政府高官)との声が早くも聞こえており、衆院解散・総選挙を前に、民主党との違いを示す意味もありそうだ。
河村建夫官房長官は11日の記者会見で、法整備を検討する考えを明らかにした。
政府・与党内では、公海上での船舶検査について、対象船舶から攻撃される恐れがあるため海自が行うべきだとの意見がある。一方で、公明党などから「海保で対処は可能」との指摘もある。
公海上で船舶検査を行う根拠となる主な現行法には(1)船舶検査活動法(自衛隊)(2)海上保安庁法(海上保安庁)(3)自衛隊法による海上警備行動(自衛隊)--がある。
船舶検査活動法の適用には、日本の平和と安全に重要な影響を与える「周辺事態」の認定が必要だが、政府は今回の核実験で周辺事態認定をするつもりはない。そのため、同法の改正か、周辺事態認定がいらない新法制定が求められる。海上保安庁法によれば、禁輸物資が見つかっても押収などを行う法律はなく、法整備が必要になる。海上警備行動は、「人命・財産の保護または治安の維持」が目的でなければならない。【中澤雄大、仙石恭】
毎日新聞 2009年6月11日 22時50分