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【日本の選択点・政党力】

【5】議員意識 <自民>アピール力に不安 <民主>政権への執着希薄

2009年4月29日

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  この連載では、政治資金、政策決定、説明責任などの視点から次の衆院選で政権をかけて戦う自民党と民主党の「政党力」を分析してきた。

 最終回は、両党議員のアンケート結果をもとに、議員が自分の所属政党をどう受け止めているのかを紹介したい。

 アンケートでは所属する政党が相手の政党より優れている点、劣っている点を自由に書いてもらった。

 自民の「優れている点」では「ガバナンス、政策の実現力、責任感」(土屋正忠氏)「責任政党としての自覚」(山本明彦氏)など、長年政権政党だった実績、経験を強調するものが多かった。個別政策では「安全保障や憲法観など根本的な政策」(牧原秀樹氏)が優れているという回答が目立った。

 また「自由に議論ができる」(塩崎恭久氏)と党の部会や総務会などで執行部の方針に反論できる党風をあげる意見もあった。小沢一郎代表の方針に正面から反論できないとの指摘がある民主党に対する皮肉の側面もありそうだ。

 逆に「劣っている点」は「マスコミを活用したアピール力」(高市早苗氏)という趣旨の回答が圧倒的。また篠田陽介氏、小野次郎氏ら当選一回生は「世代交代の遅れ」への不満をあげた。

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 一方、民主党議員は「優れている点」として業界や官僚に頼らず「既得権益からの距離」(逢坂誠二氏)を保っていることをあげる意見が多かった。同趣旨の意見として「三、四十代を中心とする多様な人材」(古川元久氏)があり「しがらみがないので大胆な政策転換ができる」(鈴木克昌氏)などの声もあった。  「劣っている点」は「経験不足」(牧義夫氏)が多かった。また野田佳彦氏、平野博文氏は「政権への執着心」が足りないと指摘した。  これらの意見は、一般有権者の両党に対する評価と大差ない。議員たちは自分たちの政党を比較的客観的に見つめているようだ。ただ、自覚しながらも、弱点を克服しようという危機感はアンケートからはあまり感じとれなかった。

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 興味深いデータがある。今回のアンケートでは「選挙で最も重視するもの」を聞いた。その結果、自民党は三分の二以上が「政治家個人の所信や政策」と回答。民主党は「政治家個人」と「政党の理念や政策」が拮抗(きっこう)した。自民党が個人本位、民主党は政党本位で選挙に臨む傾向が出た。

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 有識者らでつくる21世紀臨調は二〇〇三年、全国会議員を対象にしたアンケートで同様の質問をしている。そのときの結果は、自民党の51・9%が「個人」、「政党」は38・8%、民主党は「個人」が30・9%、「政党」が37・3%だった。

 二つの調査を単純比較はできないが、この六年間で両党とも「個人」が増えたことになる。小選挙区制を軸とする選挙制度の導入で政党本位の政治に移行するとみられていたが、アンケートをみる限り、議員の意識はむしろ逆行している。  =おわり

 この連載は金井辰樹、原田悟、安藤美由紀が担当しました。

 

 設問:国政選挙で最も重視する選択基準は

 1:政党の政策
 2:候補者の主張・人柄
 3:その他

 回答受付は締め切りました。ご協力ありがとうございました。

 


 

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