7人が殺害され、10人が重軽傷を負った東京・秋葉原の無差別殺傷事件は8日、発生から丸1年を迎えた。事件現場となった交差点には「どうか安らかに眠ってください」と書かれたメッセージカードが置かれ、千羽鶴や100を超えるユリやバラの花束が供えられた。足を止め、手を合わせる通勤客らの姿も見られた。
「事件は風化していないと思った。二度と起こしてはいけない」。事件で重傷を負った江東区のタクシー運転手湯浅洋さん(55)は、この日早朝に現場を訪れ、花を手向けた。今も原因不明の胸の痛みや頭痛に悩まされるという。殺人、殺人未遂罪などで起訴された加藤智大被告(26)に対し「すべてを正直に話すべきだ。それが亡くなった人たちへの供養につながるのではないか」と訴えた。
事件当日、秋葉原にいたという豊島区のフリーのゲーム制作杉野直也さん(30)は「一歩間違えば自分も巻き込まれていた。どうしてこんな事件が起きたのか。いまだに自分の中でも整理がつかない」と手を合わせた。
現場近くの文房具店に勤務する男性(30)は「事件後は歩行者天国がなくなり売り上げが半減した。家族連れや子どもの姿もめっきり減った。早くホコ天を復活してもらいたい」と話した。