温室ガス:中期目標は「05年比15%減」 麻生首相表明

2009年6月10日 18時10分 更新:6月10日 23時31分

モニターに映し出された地球の映像の前で、温室効果ガス削減中期目標についての質問に答える麻生太郎首相=首相官邸で2009年6月10日午後6時28分、藤井太郎撮影
モニターに映し出された地球の映像の前で、温室効果ガス削減中期目標についての質問に答える麻生太郎首相=首相官邸で2009年6月10日午後6時28分、藤井太郎撮影

 麻生太郎首相は10日、首相官邸で記者会見し、2020年までの日本の温室効果ガス削減目標(中期目標)について「05年比15%減」(90年比8%減)とする方針を表明した。日本はすでに「2050年までに現状比60~80%減」との長期目標を打ち出しているが、首相は中期目標達成により、「30年には約4分の1の減(25%減)、50年には約7割減(70%減)につながる」との見通しも示した。

 政府は、比較する基準年は直近の「05年比」とした。日本の場合、同じ削減努力でも、「90年比」より削減率が大きく見える効果がある。

 中期目標を決めるに当たっては、六つの選択肢(05年比4%減~30%減)を設定。このうち世論調査で最も支持が多かった「05年比14%減」(90年比7%減)を軸に検討したが、政府内の調整の結果、最終的に1%分を加算した。

 「05年比15%減」の目標について、麻生首相は「低炭素革命で世界をリードしたい。太陽光発電の大胆な上乗せなどにより、さらに削減幅を大きくする」と説明した。

 今回の目標値は国内での排出削減分だが、今後の国際交渉では、海外からの排出権購入の扱いなども焦点になる。麻生首相は「今後の交渉を見極めたうえで判断したい」と購入に含みを持たせた。

 昨年7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の首脳宣言は、世界全体のガス排出量で「50年までに少なくとも半減」との長期目標に言及している。同目標の実現に向け、麻生首相は「(全体の排出量では)先進国で15年、途上国で25年にピークアウト(頭打ち)することを目指すべきだ」と強調。途上国にも削減努力を求め、「責任を共有する国には技術支援を惜しまない」と述べた。

 中期目標は、京都議定書に定めのない13年以降の取り組みの焦点となっており、各国は12月にコペンハーゲンで開かれる「気候変動枠組み条約第15回締約国会議」(COP15)での合意を目指している。「05年比15%減」はあくまで日本の方針であり、今後の国際交渉次第で修正されることもありうる。【谷川貴史】

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