きょうは時の記念日。天智天皇が漏刻(ろうこく)(水時計)を設け、初めて時を人々に知らせたという日にちなみ、1920年に制定された。
 時間の尊重、厳守による生活改善が狙い。当時に比べると、身近に時刻を知る機会は格段に増えた。それだけ、時間が生活の中に溶け込んでいるということだろう。
 日本の標準時を生み出しているのは独立行政法人・情報通信研究機構(東京)。30万年に1秒しか誤差がないとされる原子時計18台の平均値を出す精密さだ。
 先日の競泳ジャパン・オープンは、コンマ以下何秒に注目が集まった。5月の日豪対抗の男子200メートル背泳ぎで世界記録を上回りながら、水着が国際水連の認可を得られず、記録が宙に浮いている入江陵介選手だ。
 公認水着での世界新ですっきりさせたかったが、200メートルでは惜しくも0秒15届かなかった。それでも見事な泳ぎだった。期待の重圧などから泳ぐのがいやになったこともある。そんな時、何気なく観戦したサッカーが立ち直るきっかけになったという。「スポーツっていいな」。すっと肩の力が抜けた。
 身を削る時間との戦いからふと立ち止まった時、一回り大きくなった。時間は、接し方でいろんな表情を見せてくれる。支配されず生かす。時間との付き合い方をあらためて考えたい。