ママチャリ盗んで３００キロ！弟に「父の死伝えたかった」

　弟を訪ねて、３００キロ―。広島県警海田署は１０日までに、兵庫県相生市で自転車を盗んだとして、窃盗の疑いで住所不定、無職の佐藤誠容疑者（２３）を逮捕した。同容疑者は、同市から広島県呉市に住む弟に会うため、自転車で３００キロ近く走破したという。「父が亡くなったことを弟に伝えたかった」と供述しており、逮捕時の所持金はわずか１０円だった。

　佐藤容疑者の逮捕容疑は５月２０日午後２時頃、相生市那波野のファミリーレストラン駐車場で自転車１台（約１万円相当）を盗んだ疑い。容疑を認めているという。

　海田署によると、佐藤容疑者は、相生市から施錠されていなかったママチャリタイプの自転車に乗って、父が亡くなったことを伝えるため、弟の住む広島県呉市に向かった。兵庫県相生市から広島県呉市までの距離は約３００キロあり、２０日間かかったという。

　佐藤容疑者は弟の家に到着したが、すでに転居しており、会うことはできなかった。その後、力尽きたのか、海田町内の交番に自首。自転車を盗んだことなどを告げた。日頃から電話やメールなどで連絡する方法を取っていなかったことや、家庭の事情などで、弟と音信不通となり、直接、“アポなし”で会いに行った可能性もあるとみている。

　２０日間かかったというが、その一方で佐藤容疑者は「２日で広島まで来た」とも供述。途中、野宿をして時間をつぶし、１日１５０キロ近くを走行する「弾丸ツアー」を敢行した可能性もあるが、詳しい経路は分かっていない。

　また、「３日間くらい何も食べておらず、水を飲んでいた」と話しており、所持金は財布の中に１０円があっただけだった。持っていたリュックサックの中には、数点の衣類があり、携帯電話は所持していなかったという。「２０日間の旅」で佐藤容疑者は疲労しており、詳しい調べは１１日から行うとしている。

　同署では弟の身元を確認しているが、弟は「兄とは会いたくない」と話している。

（2009年6月11日06時02分  スポーツ報知）

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