2009年06月09日

根っこは、伸びる。つながる

子どもが高校生のころは毎朝5時半に起きて弁当を作り、7時前には朝食。
テキパキとした日々を送っていたのだが。

大学生は、朝が遅い。
しかも、子どもは運よくわりと近所の大学に通っているので
最近は、8時頃にみんなでのんびり朝食、という生活を送っている。
堕落したな(笑)

さてそんなわけで、今日も、「とくダネ!」を見ながらみんなで呑気に朝食をとっていた。

最初に、小倉さんの好きな野球ネタ。

最近の球団はチケットを売るのに努力していて、いろいろな企画を考えている。
たとえば、日本ハムでは「婚活シート」を企画した。
これは独身男女に売り出したチケットで、知らない同士の男女が交互に座るようにして、しかも4回終了時に席替えがある。
お見合い系のシートだ。

野球好きのわし。
「婚活はどうでもいいけど、野球好きと知り合えるのはいいよね。
知らない同士でも話が盛り上がって、楽しそう」なんて言っていたのだが。

ここで、小倉さんに話をふられた渡辺満里奈、ニコニコしながら
「野球に詳しくて、いろいろ教えてくれる男性ってカッコイイですよね」
というような発言。

「男と野球を見に行くのなら、男のほうが野球が詳しくて、女は教えてもらうと決まっているのか!?
女が野球に詳しかったら、それはカッコよくないのか!?
女のほうが野球に詳しくていろいろしゃべると、“オタク女”とか言われるんだぜ、きっと!!」

と、突如怒り出すわし。

・・・すみません、家族の皆さん。
そんな怒るほどのことではありませんよね。
渡辺満里奈かわいいし
野球に詳しい女を馬鹿にしているわけじゃ全然ないし
それは自分が昔いわれたことを思い出して八つ当たりしているだけだし orz


いやね、言い訳するわけだけど
わしだって、いつもいつも、こういった発言に目くじらを立てているわけじゃないのよ。
碧猫さんがね、つづけざまに(と、碧猫さんのせいにする)
無いと思って見る目に差別は映らない
なら、その言葉を使わずに試してみよう
「それ」がもたらす「社会の『常識』」
なんてエントリーを上げるからね、なんかいろいろ思い出してしまって。

渡辺満里奈の発言を聞いたら、
男女差別がないと言い張る人の存在、性犯罪被害者に対する二次加害、そして「被害にあう可能性があるから、行動を慎みなさい」という親切な人々・・・。
これと同じ「根っこ」を感じてしまったのだ。

男はこうあるべきで、女は斯くあるべし。
といった思い込みや決めつけ。
それが「そこから逸脱したものはたたいてもヨシ」につながるまでの距離は、そんなに遠くはない。

「女として逸脱した行為をしたから、性犯罪の被害にあったんだ」という被害者落ち度論。
「被害を声高に訴えるなんていう女らしくない態度をとるから、よけいにバッシングされるんだ」という、被害者は黙っていろ論。
上に出ている葉や茎の部分は違って見えても、それらは「女は野球に詳しい男に教えを請う存在」という無意識の思い込みと同じ根っこでつながっている。

そして、こういうエントリーを書くと
「男のレイプ被害者はどうでもいいんですか、そうですか」みたいなことを言ってくる馬鹿も、同じ根っこでつながっている。

「ひどいレイプにあった人のことを考えたら、セクハラぐらい我慢したら?」なんて言い出すすっとこどっこいも、同じ根っこでつながっている。

「相手を責めてばかりいたんじゃ相手が頑なになってしまうから、もう少し言い方を考えるべきじゃないか」みたいなことを言い出すトンチキも、同じ根っこでつながっている。

どこかの葉や茎を許すということは、葉や茎を通して根っこに栄養を与えることになってしまう。
ましてや、自分が他の葉や茎を批判しながら、同じ根っこでつながった新しい葉や茎になるなんて、批判している対象を応援する捻れた行為、自分の首を絞める行為だ。

小さなことからコツコツと。
「それは変です」「それはイヤです」と言い続けること。
ほとんど役に立たないかも、と思いつつも、これを続けることが
この「根っこ」を弱らせることにつながると、信じたい。

gegenga at 21:46 │Comments(9)TrackBack(1)この記事をクリップ!日常生活にいちゃもん 

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1. 「表現の自由」は誰のものですか?  [ Gazing at the Celestial Blue ]   2009年06月10日 17:42
 板坂耀子氏の「私のために戦うな(弦書房、2006年12月25日発行)」の117ページに「ありふれたパターン」と題された章に、こんな記述がある。 ...

この記事へのコメント

1. Posted by さくら    2009年06月10日 09:14
中学時代の友人付き合いしていた中に
「女の子はそんなことしてはいけない」的なことを
やたらと言う子がいました。
私が「そんなこと」ばかりするので、しつこく言われて。
そんな彼女は、高校に進学しませんでした。
早くになくなった母親に代わって養育を担っていた祖母が
女は勉強しなくて良いという方針だったので。
(経済的事情もあったようですが
男の兄弟は高校には行かせてもらっていたのに
成績優秀な姉は、先生の説得も実らず、進学できなった)

もちろん彼女は
自分が勉強させてもらえないことと
私の行動を批判することの
根っこがつながっているなんて、気づいてもいないようでしたけど。
2. Posted by 碧猫    2009年06月10日 12:43
 学生時代の同期に「男子厨房に入らず」、というか、入らせずって胸をはってる女性がいました。交流のある間中、その価値観のままであった彼女は、二人の男の子の母になりました。

 もう疎遠になってしまって、どんな風に男の子達を育てているのかは知らないのですが、遠くから祈ってはいます。
3. Posted by いるか缶    2009年06月10日 14:34
というわけで私もgegenda師匠に野球を教えてもらおうかと思います(そーではなく)

それにしても、このエントリでgengenda様が述べられている「根」というのは、性差の問題を越えて、貧困や政治、果ては文化にまで伸びていそうですね。「国民性」で片付けるのはあれですが。
4. Posted by tomo    2009年06月10日 16:26
渡辺満里奈は「野球に詳しい男性ってステキ」と思う女性の代表であり、
自分がそのようなコメントを求められるキャラであることを熟知しているので
上記のような発言をしたのかもしれません。
「野球に詳しい女性もカッコイイですよね」と言ってくれる
男性ゲストがいてもよかったのに。

こういう発言をしたら相手がどう思うか、
そういう決め付けをしたら相手がどうとらえるのか、
そんな想像力がないから被害者をさらにおとしめようとするのでしょう。
もし自分が同じ目にあって同じことを言われたら傷つかないのかな?

「前国税庁長官は韓国人!」と書いてしまう人も、
根っこはつながっているのではないかと思います。
5. Posted by 珠    2009年06月10日 17:52
母は夫を台所に入らせないのが当たり前。私は忙しかったので、夫も入らざるを得ませんでした。息子は連れ合いも働いているので、意識として台所に入るのは当たり前。こういうふうに男女の意識も3代で変わってきたんだなぁと、時代の流れも感じています。

根っこでつながっているといわれる偏見が、思いがけず私自身、ひょこっと出てくることがあって「うわぁ、まだまだ私ってけっこう偏見を持ってるんだわ!」って思わされたり、気づかないこともあったり。

だからgegengaさんや、ここにレスされる方々のご意見に、ハッとさせられることも多いです。
6. Posted by gegenga    2009年06月10日 22:42
>さくらさま
あぁ、これはまさに同じ根っこ・・・。

そのように育てられ、そう信じていると、自分が不幸だとは思わないんでしょうね。
だから、さくらさんへの「助言」も、きっと「親切」のつもりだったんでしょう。
「自分と同じように、はみ出さないで生きるほうが幸せだよ」と教えてくれる「親切」。


>碧猫さま
私も祈りたくなりました orz

私の母は港町で育ったくせに魚嫌いで、「生臭いからイヤ」という理由で魚をさばかない人です。
普段は魚屋さんがさばいてくれるから問題がないのですが、問題は、兄がみんな釣り好きだっていうこと。
釣ってきた魚も、母は絶対にさばかない。

で、兄たちは、みんな魚をさばくのが上手になりました。
しかも、基本的に「魚は男がさばくもの」と思っているようです。

育つ環境で、かなり違うよなあ。
7. Posted by gegenga    2009年06月10日 22:53
>いるか缶さま
>このエントリでgengenda様が述べられている「根」というのは、性差の問題を越えて、貧困や政治、果ては文化にまで伸びていそうですね。

これをまたそのうちに書こうと思っていたのに、なんで私が考えていることがわかっちゃうんですか!(笑)

そうなんですよ。
難民保護費やカルデロン一家の話、生活保護の支給問題、などなど。
このところ気になっている問題がすべて同じ根でつながっているような気がして、ちょっと鬱。


>tomoさま
>「前国税庁長官は韓国人!」と書いてしまう人も、
根っこはつながっているのではないかと思います。

だぁかぁらぁ、なんでわかっちゃうんですか!(笑)
なんか、言わんでも分かる人には言わんでも分かるし、言ってもわからん人にはいくら言っても分からんのか、という気分が高まってきたぞ(爆!)

>自分がそのようなコメントを求められるキャラであることを熟知している

そうそう。
そしてそれに疑問を感じていないんでしょうね。
そこに疑問を感じ始めると、遙洋子さんになる、と。
8. Posted by gegenga    2009年06月10日 23:00
>珠さま
>こういうふうに男女の意識も3代で変わってきたんだなぁと、時代の流れも感じています。

これはいい時代の流れですねぇ。
それを邪魔しないでくれよ、碧猫さんの同期の方!(祈)

>根っこでつながっているといわれる偏見が、思いがけず私自身、ひょこっと出てくることがあって「うわぁ、まだまだ私ってけっこう偏見を持ってるんだわ!」って思わされたり、気づかないこともあったり。

私も、こういうことありまくりです。
気づくたびに、自分でもビックリします。
人間、誰にでもあることなんだろうなあ。

でも、だからといって「人間とは偏見を持っているものなんだから仕方がない」とは考えたくない。
そこを乗り越えるように、少しずつ前に進んでいきたいです。

「人間だもの」は、言い訳の言葉じゃないですよね。
9. Posted by kuroneko    2009年06月11日 00:02
祖母はそんなに料理が得意ではなかたっと思うけど(ぬかみそはおいしいという評判)、祖父は器用な人で、見ていたらコツをつかんでドジョウを裂いたという「伝説」があります。

ただねえ。たとえば、ご飯を炊くって昔は、重労働だったのではないかな。まき割りまでご飯を炊くことの一部と考えれば。

また、そんなに凝った料理は明治の人は作れなかったと思う。日常の食事なんておかずは一品あるかないかではないかと思います。

今の「家事」って「専業主婦」と同じで、せいぜい昭和ぐらいに生まれたと思う。

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