オウム真理教が以前アジトにしていたマンションから現金約245万円が見つかり、警視庁はオウムの「隠し財産」として「オウム真理教犯罪被害者支援機構」(理事長・宇都宮健児弁護士)に返還した。同機構が10日に会見するなどして判明した。現金は教団を巡る事件の被害者救済に充てられるという。
同機構や警視庁公安部によると、現金は東京都昭島市のワンルームマンションの天井裏で今年3月に見つかった。札や硬貨が封筒5枚に小分けされ、黒いポーチに入っていた。部屋は96年12月から00年8月まで、当時オウム信者だった女性が賃貸借契約していた。
その後、部屋にはオウムとは無関係の女性が住んでいたが、03年4月に元オウム幹部の男性がマンションを訪れ、管理人に「部屋に忘れ物をしたので浴槽の換気口を見せてほしい」と申し出た。管理人が断ると男性は「今の入居者が退去したら連絡してほしい」と頼み、オウム関連のコンピューター会社名が入った名刺を差し出したという。女性が転出した今年3月、管理人がユニットバスの天井裏を確認し現金を発見、警視庁昭島署に拾得物として届け出た。
公安部の調べに対し、マンションを訪ねた元教団幹部は「教団の資金を隠していた」と説明。公安部は、オウムが特別手配犯の逃走支援などに充てる現金を保管するアジトとして使っていた疑いがあるとみている。
オウムは96年3月に破産宣告を受け、今年3月、破産管財人による手続きを終えた。残りの債権を譲り受けた同機構の宇都宮理事長は「被害者救済のため(隠し財産があれば)正直に申告してほしい」と話している。
毎日新聞 2009年6月10日 21時53分(最終更新 6月10日 21時56分)