安心してイノシシとシカ肉の消費を―。県は鳥獣被害対策で生じたイノシシとシカ両肉の活用促進に合わせて、解体処理や販売・飲食店の食中毒防止対策などをまとめた「衛生管理マニュアル」(A4判・36ページ)を作った。県内では地域特産品やジビエ(野生獣肉)の創作料理の取り組みが進んでおり、「消費拡大のためにも安全確保を徹底させたい」と話している。
イノシシやシカはこれまで狩猟免状所有者が捕獲し、狩猟関係者間で消費してきたが、近年は地域特産品として活用する動きがある。しかし、全国的にサルモネラ菌や腸管出血性大腸菌による食中毒、肝炎患者が発生。県内でもシカ肉による食中毒(2000、01年・計12人)が起きている。
その中、中山間地での鳥獣被害増加に伴い、県は年間捕獲頭数をイノシシは07年度の1万7700頭から2万2000頭(09年度から5カ年)、シカは9600頭から1万5000頭(同)に強化。県食品安全・衛生課は「捕獲頭数が増えるのに伴い狩猟関係者だけでさばけず、一般消費する機会も増える。安全性の確保は不可欠」としていた。
マニュアルは食中毒防止の観点から、解体作業の手順や用具の消毒方法、販売店や飲食店での適正な取り扱いなどを明記。イノシシ、シカ両肉について、新たに導入予定の狩猟免状番号などを基に流通経路をたどることができる「トレーサビリィティー(生産履歴)」についても説明している。
マニュアルは今年9月以降の狩猟免状更新の講習会などで配布。県は「マニュアルをつくることで食品衛生管理の意識を高めたい。シカ肉とシシ肉の安全につなげ、消費拡大につながれば」と話している。
※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
Copyright (c) 2008 OITA GODO SHIMBUNSHA