2009年6月10日(水)「しんぶん赤旗」

臓器移植法

4改正案「中間報告」

佐々木議員反対 “審議つくせ”


 衆院本会議は9日、議員有志が提出している臓器移植法改正案4案について、厚生労働委員会の田村憲久委員長による「中間報告」を行いました。

 このやり方は、厚労委員会での審議が尽くされていないのに、委員会では決められないと議論を打ち切り、本会議で採決にもち込むという無責任なものです。日本共産党と社民党が「中間報告」を行うことに反対しました。

 本会議に先立つ議院運営委員会で、日本共産党の佐々木憲昭議員は、「中間報告」に反対する意見表明をしました。

 佐々木氏は、「脳死臓器移植によってしか命を救うことが困難な患者を救う道を開くことは、大変重要な課題だ。移植を待ち望む子どもたちを何とか救う道を開きたい、と私も思います」と表明した上で、臓器移植法は、人の生死にかかわるきわめて重大な法律であり、「改正には、十分な審議を尽くし、正確な医学的知見を共通認識にし、問題点を解明し、国民的な議論をつくして、合意を形成する努力が必要だ」と強調しました。

 佐々木氏は、今国会での厚労委審議が8時間にすぎないことや、マスメディアも「移植審議 混迷深め幕」などと報じたこともあげ、「4案の問題点や矛盾点が噴出した段階であり、厚生労働委員会で、さらに審議をつくすのがスジだ」と主張。

 「中間報告というやり方は、臓器移植に対する国民の理解や前向きの認識を築いていくうえでマイナスに作用することになりかねない」と表明しました。

 本会議で「中間報告」をした田村厚労委員長は、改正案4案の提出経過や主な内容を説明。「今国会で何らかの結論を出すことが議員に与えられた責務だ」とする一方、各議員に「慎重な判断」を求めました。

 また、A、B、C、D案の提出者からもそれぞれ説明が行われました。


 臓器移植法改正案 現行法(1997年成立)では、本人が生前に意思表示を書面で行い、家族が拒まない場合のみ脳死は「人の死」とし、15歳以上の臓器摘出が可能となっています。提供者の自己決定を要件とするため0〜14歳は提供できません。

 これに対し議員有志から、A案=年齢を問わず、脳死を一律に「人の死」とし、家族同意のみで提供ができる、B案=提供の対象年齢だけを12歳以上に引き下げる、C案=脳死の定義、脳死判定基準、脳死判定を開始できる要件などを厳格化する、D案=0〜14歳について、▽本人が生前に拒否の意思表示をしない▽家族が承諾する▽家族による虐待などがないことを病院の倫理委員会が確認する―場合に可能とする、という四つの改正案が提出されています。



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