2009年6月10日 (水)

 日本病院薬剤師会は8日、DPC病院における薬剤師の病棟業務に関する実態調査結果を、中央社会保険医療協議会の診療報酬調査専門組織DPC評価分科会に提出した。病棟薬剤師が現行の診療報酬では評価されていない機能を担っていることに理解を促すと共に、DPC対象患者当たりの薬剤師数が、病院規模によって大きな差がみられないことを明らかにした。委員からは、DPCにおける新たな機能評価係数の指標として薬剤師配置を採用することに前向きな意見もあった。

 調査結果は、新潟県病院薬剤師会長の佐藤博委員(新潟大学教授)が説明し、薬剤師の病棟業務や薬剤師配置の実態等を紹介した。

 主な病棟業務としては、(1)医療スタッフへの医薬品情報提供、(2)病棟カンファレンスや回診同行による患者情報の提供、(3)病棟の医薬品管理、(4)服薬指導、(5)副作用モニタリング、(6)薬物血中濃度測定、(7)チーム医療(緩和ケアや感染対策など)――の7種類を挙げた。このうち、スタッフへの医薬品情報の提供、病棟カンファレンス等における患者情報の提供、医薬品管理については、医療の質向上が期待できるにもかかわらず、現行の診療報酬では評価されていないものとして整理した。このほかにも、注射薬のミキシングを病棟で行うこともあるが、クリーン度の高い薬局や薬剤部で実施する方が有効と判断し、病棟業務には含めなかった。

 薬剤師配置の実態については、DPC対象病院または準備病院となっている全1328施設の7割となる1017施設を分析。3月末の1週間の業務時間から人数を割り出した。

 総薬剤師数は、DPC対象患者数に伴って増加する傾向が見られたが、DPC対象患者100人当たりの総薬剤師数は、病院ごとのDPC対象患者数による差はみられず、中央値は5・31人だった。

 また、DPC対象患者100人当たりの病棟薬剤師数は、対象患者が100人を下回る施設でわずかに多いものの、概ね同水準で、中央値は1・26人。なお、薬剤管理指導等の診療報酬で評価されている人員を除いた中央値は0・32人となっている。

 薬剤師配置と平均在院日数の関係については、ピアソンの積率相関係数マイナス0・20(絶対値が1に近いほど相関が強い)と相関は弱いものの、DPC対象患者100人当たり病棟薬剤師数が大きい施設の方が、平均在院日数が短い傾向がうかがえる結果となった。

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