地元の宝 傷癒やして - 桜井の平安後期阿弥陀如来坐像
2009年5月20日 奈良新聞
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桜井市外山に伝わる平安時代後期の阿弥陀如来坐像が、県の文化財指定を契機に修理されることになった。高さ約2.1メートルの木造で、同時期を代表する仏師、定朝の作風を伝える。所有する外山区が、地元の宝として修理することを決めた。 阿弥陀如来坐像は同区の報恩寺(山崎珠亨住職)に本尊として安置されている。来歴は不明だが、廃寺になった粟原寺(同市粟原)の旧仏と伝承されてきた。 ヒノキの寄せ木造りで金ぱく仕上げ。見開きの大きい目に定朝初期の特色があり、制作は11世紀中ごろにさかのぼるという。12世紀に入ると定朝様(よう)の仏像が多数造られるようになる。 今年3月、県の文化財に指定されたが、ひざに穴が開くなど傷みが激しく、同区は県教育委員会と話し合って修理を決めた。事業費は県の補助対象で、予算措置が整えば来年度にも着手する。 奈良国立博物館にある財団法人美術院の工房で解体修理が予定されており、2年ほどかかる見込み。 本堂も柱が傾いたり屋根瓦(がわら)がずれるなどしており、仏像の修理に合わせて建て替える計画だ。 番場衆司区長(76)は「地元でも知らない人が多く、修理を機会に大勢の人に拝んでもらいたい」と期待。山崎住職(61)は「傷みを見るたび『もうすぐですよ』と語りかけてきました。修理は僧侶冥利に尽きること。たくさんの方々の協力のおかげです」と話した。 卒塔婆供養で寄進を募っており、名前は巻き物にして胎内に納める。問い合わせは同寺、電話0744(42)3757。 |
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