2009年6月10日3時57分
派遣社員の相談を受け付ける窓口。新型インフルエンザを口実にした派遣切りの問い合わせにも応じる=9日午後、東京都文京区の全労連会館、上田潤撮影
一方、おおさか労働相談センター(大阪市)には、大学の臨時講師の女性から「海外旅行を理由に解雇された」という相談が寄せられた。感染者が出た国に行くことは事前に大学側に伝えてあったが、帰国後、「受講生への影響が心配」として言い渡された。感染していないことが分かっても状況は変わらなかった。
食品会社の派遣社員としてアメリカに赴任中の30代女性は近く帰国する予定だったが、「日本でもインフルエンザの影響は深刻。戻ってきても仕事がない」と会社から契約終了を言い渡された。外資系航空会社で派遣で働く女性はメキシコ行きの機内での仕事に不安を訴えたところ、会社から「インフルにかかっても自己責任」「断れば違約金を請求する」と言われた。
東京都労働相談情報センター(千代田区)にも、新型ではないが、インフルエンザに感染して会社を長く休んだために「仕事をする気はないのか」「迷惑をかけられた」などと陰口をたたかれ、職場に居づらくなっているという相談が複数寄せられた。(島康彦)
■性急な解雇、有効性が問われる
労働問題に詳しい小川英郎弁護士の話 インフルエンザの影響は一過性なのに、それに便乗して解雇しようというケースもあるのではないか。性急な解雇は、有効性が争われることになりかねない。一時帰休などの方法も考えるべきだ。労働者側も専門家や労働団体に相談し、労働審判を申し立てるなど職場に戻る活動をすべきだ。