来日中の国際通貨基金(IMF)のジョン・リプスキー筆頭副専務理事は19日、記者団と懇談し、97~98年のアジア通貨危機時のIMFのアジア各国への支援策について、「多くの問題を一度に解決しようと拙速に対応した」と述べ、対応策が誤りだったことを認めた。アジア各国はIMFの「処方せん」への反発から、危機に備えて巨額の外貨準備の積み上げに走り、これが米国の巨額貿易赤字など国際不均衡を招いて、金融危機の遠因になったとの「IMF主犯説」が強まっている。
IMFはアジア通貨危機に際して、韓国やインドネシアなど危機に見舞われた国への融資の見返りに厳しい経済構造改革を強要。リプスキー副専務理事は、「IMFがあまりにもずかずかと踏み込み過ぎた印象をアジア各国に残してしまった」と述べる一方、今年3月に、融資条件をつけない融資制度を創設したことを紹介し、「過去の教訓は生かしている」とIMFの取り組みを説明した。【斉藤望】
毎日新聞 2009年5月19日 20時16分