ニュース: エンタメ RSS feed
【イチから分かる】“アニメの殿堂”問題 保存収集の拠点、「無駄」批判も (1/2ページ)
アニメやマンガ、ゲームなどメディア芸術全般を収集展示する「国立メディア芸術総合センター(仮称)」をめぐって、議論が持ち上がっている。アニメやマンガは日本が世界に誇るコンテンツ。貴重な原画や資料の保存収集などのために拠点は必要との意見の一方で、具体的な展示内容が不明なことなどから無駄な支出を懸念する声も少なくない。賛否両論の中、同センター整備費117億円を盛り込んだ平成21年度補正予算が成立。国立初のメディア芸術の拠点整備計画が、年度内にも具体的に動き出す。(堀晃和)
「総理がアニメの殿堂、アニメがお好きなことは分かりますけれども、ハコモノにそんなお金を使う必要があるのか。マンガ喫茶の民業圧迫になる」
5月27日の党首討論で、民主党の鳩山由紀夫代表は辛辣(しんらつ)な表現で補正予算をやり玉にあげた。4月の代表質問では「巨大な国営マンガ喫茶」とも揶揄(やゆ)した。市販のマンガを来場者が自由に読めるような印象を与える発言だが、文化庁は「そんな施設にする意図は全くない」と反論する。
8日には自民党内からも不要論が出始めたが、計画の発端は平成19年2月、安倍晋三首相時代の閣議決定。「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第2次基本方針)」の「メディア芸術などの新しい文化芸術の国際的な拠点を形成することも検討する必要がある」との提言に沿ったものだ。
10年から始まった「文化庁メディア芸術祭」も背景の一つ。今年2月開催の第12回は、アニメーション部門の大賞作「つみきのいえ」が上映されたほか、デジタル技術を使った芸術作品などが話題を呼び、11日間で約5万5千人を集める人気イベントに成長した。文化庁によると、芸術祭は期間が限定されるため「クリエーターから常設の場が欲しい」との意見が以前からあったという。