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【栃木】

足利事件 市内の塾が中高生アンケート 『警察は真犯人と共犯』

2009年6月10日

 足利事件で再審請求中の菅家利和さん(62)が釈放されたことについて、事件現場となった足利市に本部を置く学習塾が、中学と高校の塾生を対象に緊急アンケートを実施した。捜査に対する憤り、菅家さんへの同情が文面にあふれた。 (梅村武史)

 アンケートを実施したのは、新聞を塾生の社会勉強として活用している開倫塾(林明夫塾長)。五日夕に、足利と佐野市にある七校の塾生二百十九人を対象に行った。

 設問は(1)菅家さんをどう思うか(2)警察の捜査方法をどう思うか(3)真犯人をどう思うか(4)えん罪を防ぐにはどうすればいいか−の四点。足利事件を簡潔に説明した注釈を付け、意見・感想を自由に書かせた。

 (1)では菅家さんに同情する意見が圧倒的。「私が生まれる前からずっと刑務所にいたなんて」(高二女子)、「親の死に顔が見られないなんて」(高三男子)など。「これまでよく頑張った」(中二女子)との激励や、「運が悪かった」(高二男子)というあきらめの声もあった。

 (2)では警察に対する批判が集中。「菅家さんの人生を奪った警察は真犯人と共犯だ」(高三男子)、「逮捕できれば誰でもいいのかも」(高一女子)、「まず菅家さんに謝罪して」(中二女子)、「えん罪に関(かか)わった捜査員を処分して」(中三女子)など。一方で「捜査の方向性は間違っていない」(高二男子)、「当時としては限界があった」(高三女子)など理解を示す声もあった。

 (3)では「真犯人が近くにいると思うと怖い」(中一女子)など事件に対する不安や、「時効なんだから真犯人は出てこい」(中三男子)という怒りも。(4)では「慎重な捜査」が多数で、「裁判所がしっかり審理」(中二男子)と司法に目を向ける意見も。奇抜なアイデアとしては「正確なうそ発見器を開発して」(高二男子)、「名探偵を育てる」(中三女子)などがあった。

 とりまとめた同塾本部校の津久井一則校長は「画一的な意見がやや多いが、事件をリアルタイムで経験していない生徒たちの関心の高さ、情報量には驚いた」と話している。

 

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