2009年6月10日12時2分
広島県江田島市の海上自衛隊第1術科学校で昨年9月、特殊部隊「特別警備隊」の養成課程の生徒だった3等海曹の男性(当時25)が、15人を相手にした格闘訓練中に意識不明になって死亡した問題で、防衛省は10日、現場で指導していた当時の教官や特警隊の小隊長ら計4人について、海上自衛隊警務隊が業務上過失致死容疑で広島地検に書類送検したと発表した。
送検されたのは、特警隊の小隊長だった3等海佐(50)、近くで訓練を指導していた小隊長補佐の3等海尉(42)、訓練でレフェリー役をしていた教官の2等海曹(39)、男性と14人目に対戦した3等海曹(29)の計4人。
発表によると、男性は08年9月9日、第1術科学校の体育館であった「徒手格闘訓練」に参加し、防具とグローブをつけて隊員15人を相手に順に1人50秒ずつ格闘。14人目に対戦した3曹のパンチをあごに受けて倒れ、意識不明となり、頭蓋骨(ずがいこつ)内の急性硬膜下血腫で同25日に死亡した。
2曹は体育・格闘の担当教官だったが、男性が危険な状態だと把握せず、訓練を中止しなかった疑いがある。3曹は強いパンチを男性のあごに当てた過失の疑い、3佐と3尉は訓練の危険性を認識せず、事故を未然に防止するなどの注意義務を怠った疑いが持たれている。防衛省は、4人が容疑を認めているかについては「捜査中なので答えられない」としている。
海自は、捜査とは別に事実調査を進めており、今後1カ月以内に最終報告をまとめる。防衛省は報告を踏まえ、関係隊員を処分する方針。