憂楽帳

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憂楽帳:電車でランチか

 先日、JR京葉線で東京都内から千葉に帰る途中、関西から修学旅行で、ディズニーランドに向かう中学生の集団に遭遇した。そろってマスクをしていた。聞くと、「万一、新型インフルエンザに感染していて、周りの人にうつしたらあかんから」。教師の指導があるにしろ、マナーができている。

 ところで、このところ、昼時の電車で、周囲にかまわず、おにぎりやパンをほおばる人をよく見かける。30、40代の分別盛りとおぼしきスーツ姿も珍しくない。このご時世。企業戦士は昼食の時間も切り詰めているらしい。

 「電車でランチ」支持派の知人は、「食費節約の意味もある」という。しかも、公園のベンチで食べるのは惨めだが、電車でなら「仕事が忙しいから仕方ないんだ」と、自尊心をなだめられるそうだ。男心は複雑である。

 それも生活防衛策なのだろう。しかし、閉ざされた電車内で、居合わせた人々に配慮することは、中学生でも実践しているマナーではなかったか。未曽有の経済危機の中で、大切なものが崩れかけている。【大高和雄】

毎日新聞 2009年6月5日 13時16分

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