県立がんセンター(宇都宮市陽南4)で99年、胃がんの手術を受けた同市の男性(当時57歳)が死亡したのは、再手術後の適正な処置を怠ったからなどとして、遺族が県に計約6200万円の損害賠償などを求めた訴訟で、遺族側は宇都宮地裁(竹内民生裁判長)が提示した和解金500万~600万円での和解案を受け入れる方針であることが9日、関係者の話で分かった。県側は「今の時点では検討中」としているが、県が受け入れれば7月1日の協議で和解する見通し。
訴状によると、男性は99年8月、がんセンターで胃がんの手術を受けた際、胃とひ臓を摘出し腸と食道をつなぐ手術を受けた。しかし約2週間後、縫合部分が外れて出血したため再手術を受けたが、同年10月に肝不全で死亡した。遺族側は縫合時の処置が適正でなかったことや、医師が再手術後の適正な処置を誤ったなどとして慰謝料などを求めていた。
原告側代理人によると、裁判所は縫合手術に明白な過失はないが、再手術後の処置に多少問題があるとして和解案を提示したという。【松崎真理】
毎日新聞 2009年6月10日 地方版