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米女性記者拘束:ゴア氏、北朝鮮特使となるか(上)

早ければ今週末にも訪朝

 北朝鮮の朝鮮中央通信は4日、「朝鮮民主主義人民共和国の中央裁判所は、すでに起訴された犯罪行為により、米国人女性記者のローラ・リン(中国系)とリ・スンウン(ユナ・リー、韓国系)に対する裁判を6月4日午後3時から開始する」と報じた。先月14日に裁判の日時を公開したのに続き、北朝鮮が裁判の時間まで予告したのは異例のことだ。これについて韓国政府の関係者は、「今回の事件を米国との交渉に利用する意図があるようだ」と分析している。

 ある外交筋はこの日、「女性記者二人が所属するカレントテレビのオーナーでもあるアル・ゴア元副大統領が、裁判の結果を見極めた上で、早ければ今週末にも北京経由で北朝鮮を訪問し、女性記者たちを連れて帰ってくる可能性が非常に高い」と述べた。

 5日に韓国を経由して中国に向かうジェームズ・スタインバーグ米国務省副長官一行が週末に北京に滞在するのも、ゴア元副大統領の北朝鮮訪問と関係があるとされている。北朝鮮は過去にも米国人を抑留した際、その釈放の過程で米国からの特使を受け入れた経緯がある。韓国政府筋は「過去の事例からすると、北朝鮮が要求する女性記者の滞在費などを支払った上で、二人を連れて帰ることになるだろう」と述べた。ゴア元副大統領も先月15日、CNNとのインタビューで「北朝鮮行きについて考えているのか」という質問に対し、「その問題を含めてあらゆる行動が可能だ。しかし北朝鮮は、飛行機のチケットを購入して空港に到着するというような国ではない。そのため北朝鮮を訪問しても、何の成果も得られない可能性がある。北朝鮮は普通の国ではないからだ」と発言している。

 ゴア元副大統領の北朝鮮訪問は、形としては米国政府とは関係なく、「カレントテレビ設立者」という民間人の資格で進められている。国務省のクローリー副報道官がこの日行われた定例の会見で、「ゴア元副大統領は民間人のため、北朝鮮を訪問する内容については把握していない」と発言しているが、これもそのような点を考慮したものだ。クローリー副報道官はさらに、「現時点では北朝鮮をテロ支援国に再指定する考えはない」という趣旨の内容も語っているが、これは女性記者の裁判とゴア副大統領の北朝鮮訪問を念頭に置いているためとされている。国務省は北朝鮮が5月25日に2回目の核実験を行った直後、「テロ支援国に再指定することも検討している」と表明していた。結果的に現在の注目は、ゴア元副大統領がオバマ大統領のメッセージを金正日(キム・ジョンイル)総書記に伝える、いわゆる特使としての役割も果たすのか、という点に集まっている。

安勇炫(アン・ヨンヒョン)記者

任敏赫(イム・ミンヒョク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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