日本郵政・西川社長、参院総務委に出席 総務相の辞任要求に対し、続投に意欲見せる
9日、日本郵政の西川善文社長が参議院総務委員会に出席した。鳩山総務相は、「かんぽの宿」売却をめぐる不透明な手続きなどを理由に辞任を求めたのに対し、西川社長は続投に強い意欲を見せ、辞任する考えがないことを示した。
9日午後0時50分ごろ、注目の参議院総務委員会に出席するため、日本郵政の西川善文社長が国会に入った。
その委員会には、9日朝、「トップとしては責任をおとりになるのが当然だと」と述べ、あらためて西川社長の続投を認めないと明言した鳩山総務相も出席した。
鳩山総務相と1つ席を空けて、西川社長が座った。
笑顔で談笑するなど、余裕の表情の鳩山総務相に対し、西川社長はずっと手元の書類を見ていた。
政権基盤をも揺るがす攻防が、午後1時に始まった。
鳩山総務相は「西川社長に対して、何の悪感情もなければ、何の感情もありません。お酒を一緒に飲んだら楽しそうな方だと思いますよ。しかし、これは公的企業の最高責任者なわけだから、これだけのことが起きたならば、責任を痛感していただかなければ困るというのが、私の立場でございます」と述べた。
「かんぽの宿」売却にあたっての不透明な手続きなどを理由に、本人の面前で、辞任を求める考えを述べた鳩山総務相。
それに対し、西川社長は「私といたしましては、いったんお引き受けした以上、民営化の土台をしっかりと築くことが私に与えられた責務である。また、果たすべき責任である」と続投に強い意欲を示し、辞任する考えがないことを示した。
6月29日に迫った日本郵政の株主総会に向けて、一歩も引かない両者。
8日夜、この問題で、麻生首相は「調整をしなくちゃいかんところだとは思ってますけれども、いつやるのかというのが、今がいいのか、29日の株主総会の日がいいのか、いろいろ意見の分かれるところであろうと思ってますので」、「最終的に判断しなければいかんでしょうね」と、最終的に自らが判断する考えを初めて明らかにした。
しかし9日、閣僚からは、さまざまな声が聞かれた。
かつて郵政民営化に反対し、離党を余儀なくされた野田聖子消費者担当相は、「これは総理大臣がお決めになる話でもないんじゃないかな。最終的には総務大臣の権限の下で行われることじゃないのかな」、「何でもかんでも総理を引っ張り出して、総理にお決めいただくということは、もう官僚として体をなさないということになりますから」と述べた。
また、金子国交相も「官房長官と与謝野・鳩山3大臣で決着つかなきゃ、総理」と述べた。
麻生首相は、西川社長の続投を認めるのか、認めないのか注目が集まっている。
鳩山総務相は9日朝、麻生首相の決断について、「報道によれば、総理が西川さん続投の方向でお決めになっているようなのがありますが、そういうことは一切ないと私は確信いたしておりますから、総理と私の判断が食い違うことはないでしょう」と自信を見せた。
自民党内からは、早い決着を求める声が相次いだ。
自民・谷川参院幹事長は「もう尻に火がついているのに、消さないと。それこそカチカチ山のタヌキじゃあるまいし、大ごとになるよ」と述べた。
自民・加藤元幹事長は「わたしは、どっちもどっちだなと思います。私たちの選挙に影響します。怒りを持って見ています」と述べた。
9日の委員会では、次のようなやりとりもあった。
共産・山下芳生議員の「西川社長に伺います。大臣の判断には従われますか」との問いに、西川社長は「それは法律の決めたことでございますから、法に従うまででございます」と述べた。
一方、共産・山下議員の「総務大臣として、断じて認可すべきでないと思いますが」と、野党議員からエールを送られた鳩山総務相は「これは政争だとか、選挙とか関係まったく関係のないことですよ。私は常識的に判断をさせていただこうと思っております」と述べた。
3時間にわたる攻防が終わったあと、渦中の2人は握手を交わした。
委員会を終えた西川社長は、「辞任を求める発言をどう受けたか?」との問いに、無言だった。
そして、鳩山総務相は「最初と最後、握手しました。これは人間同士ですから、仕事を離れれば、酒飲み友達だっておかしくはないわけだから。友愛精神です」と述べた。
(06/09 18:20)