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【東京】

ハンディ関係なく 認められた『音楽家』 全盲の辻井さんコンクール優勝

2009年6月9日

 米国のバン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した全盲のピアニスト辻井伸行さん(20)の快挙に、辻井さんが通う上野学園大(台東区東上野)は八日、喜びに包まれた。玄関ホールには「祝 辻井伸行君 ゴールドメダル(1位受賞)」の立て看板。ハンディキャップに負けずに手にした栄冠に関係者は称賛を惜しまなかった。

 同大の松平博通事務統括部長は「コンクールの公式ホームページで午前九時には結果が分かった。すごいことで、教員たちも喜んでいる」とマスコミ対応に追われた。

 辻井さんが中学時代から指導を受けるピアニストで、同大音楽学部の担当教授でもある横山幸雄さん(38)は「優勝すれば、米国を中心に百回以上の演奏会が保証される。ピアニストにとっては最後に挑戦する部類のコンクール。年齢やハンディキャップに関係なく、辻井君が完成した音楽家として認められた」と喜ぶ。

 十歳でオーケストラと共演し、二〇〇五年のショパン国際ピアノコンクール(ワルシャワ)で批評家賞を受賞するなど、演奏家としてのキャリアを順調に積み上げてきた辻井さん。今回のコンクール参加の話が出たのは昨年秋ごろという。準備した曲は全部で四時間半〜五時間に及ぶ。コンクールの決勝ラウンド前日には横山さんも渡米して、最後の詰めを行ったという。横山さんは「順位がつくものなら一番上と願っていたので、最高の結果になりました」と話していた。 (中里宏)

 

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