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テレビ東京系、「美の巨人たち」が10年目に突入

2009年6月9日

 国内外のすぐれた美術品を紹介する「美の巨人たち」(テレビ東京系)が今春、10年目に突入した。俳優小林薫の落ち着いたナレーションで、作品誕生の背景や作者の逸話などを紹介する。放送は主に土曜午後10時。週末の夜に肩ひじ張らずゆったり楽しめる美術番組だ。

 00年4月に始まり、今年3月28日の「ホーホストラーテン作『部屋履き』」で450回の節目を迎えた。これを記念して3月末から4月上旬にかけ、レンブラントの「夜警」やレオナルド・ダビンチの「最後の晩餐(ばんさん)」といった名作の謎に迫る特集をした。

 番組1回につき、1作品を取り上げる。作品を収蔵する施設やゆかりの地でロケを行い、創作の経緯を紹介したり、作者の人物像を浮き彫りにしたりする。永田浩一プロデューサーは「作品から見えてくる芸術家の思いや人生を、硬くならないように伝えたい」と話す。

 番組に欠かせないのが、レギュラー番組のナレーターは初という小林だ。「ナレーターが前面に出ないこと。色を出さないこと」を心がけていると言う。一方で台本や企画には意見を出す。07年12月の「泰西王侯騎馬図屏風」は小林の発案から生まれた。ロケに出かけることもあり、昨年はフランスを訪れ、藤田嗣治の最後の作品「平和の聖母礼拝堂」などを紹介した。

 番組に登場する愉快な案内役も番組の雰囲気をやわらげる。全身黒タイツの「モデュロール兄弟」で、人体の大きさを基にしたル・コルビュジエ独自の尺度「モデュロール」をもじっている。ジョサイア・コンドル設計「旧岩崎邸」といった回でコミカルに立ち回る。

 扱う作品は絵画が中心だが、建築や工芸品も取り上げるようになった。昨夏からは夏休み特別企画として日本の建築シリーズを始め、「厳島神社」などを取り上げた。今夏も「熊本城」をはじめ4カ所を紹介する予定という。(大室一也)

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