大韓民国を揺るがすソウル広場(下)
集会開催が「熱い6月」の新たな争点に
実際、先月2日に行われた「ハイ・ソウル・フェスティバル2009」の開会式の最中、「ろうそくデモ1周年記念集会」を終えたデモ隊がソウル広場に乱入したが、これも前出の警察幹部の話を裏付けるものだ。当時、デモ隊は「独裁打倒」を叫んでステージを占拠し、同フェスティバルの主催者たちを追い出した。
東国大警察行政学科のクァク・テギョン教授は「集会やデモへの参加者だけでなく、通行人や周辺地域の商店主たちの安全にも責任を負うのが警察の義務だ。警察がソウル広場での集会を統制するのは、社会の安全のための努力と見るべきだ」と指摘した。
ソウル広場の管理責任を有するソウル市の意向も警察と同じだ。同市は「6・10汎国民大会」の開催を不許可とした根拠として、ソウル広場でのイベントを申請できる資格や許認可の基準を定めている「ソウル広場の使用および管理に関する条例」を挙げている。この条例では、ソウル広場の使用の目的を「市民の健全で有意義な文化活動」としている。今回の「6・10汎国民大会」はこの基準に当てはまらない、と判断したのだ。
一方、ソウル広場で「6・10汎国民大会」を開催する、と主張している野党や市民団体は「集会の自由」という大義名分を掲げ、「平和な集会を開くと約束しており、また憲法で集会の自由が保障されているにもかかわらず、警察がこれを妨害している」と反発している。
民主党は8日、スポークスマンのコメントを発表し、「6・10民主化運動記念大会をソウル広場で開くことを認めないのは、政府による民主主義の抑圧を意味する」と批判するとともに、「ソウル広場の使用許可を勝ち取るため、あらゆる手段を行使していく」と主張した。
また、民主労働党のウ・ウィヨン・スポークスマンは「警察が汎国民大会を違法な暴力デモと決めつけ、最初から妨害するのであれば、当日良からぬ事態が起こっても、それはすべて警察の責任だ」と述べた。一方、進歩新党のキム・ジョンチョル・スポークスマンは「憤った国民の声を盾やこん棒、水大砲(放水砲)などでふさぐつもりなのか、それとも国民の声を聞き入れ、国民の基本権を保障するのかは、警察や政府が選択すべきことだ」と語った。
野党や市民団体がソウル広場で「6・10汎国民大会」を強行しようという方針を撤回しないのは、ソウル広場がシンボル的な存在だからだ、と専門家たちは指摘している。1987年の民主化運動、2002年のサッカー・ワールドカップ(W杯)の応援、昨年のろうそくデモ、そして先月末の故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の路祭(ひつぎを送り出す儀式)など、歴史的な出来事の現場であり続けたソウル広場で集会を開き、その情熱を伝えようという意図が背景にあるというわけだ。
盧前大統領の死をきっかけとして、李明博(イ・ミョンバク)大統領に対する反感が高まる中、ソウル広場で大規模な集会を開くことができれば、「反李明博」ムードをさらに高めると同時に、李明博政権の国政の基調をも変えることにつながる、と野党などは期待している。
廉康洙(ヨム・ガンス)記者
チョン・ジソプ記者
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